蘇る伊藤計劃
ここのところなにかと持ち上げられがちな伊藤計劃氏についてのムック本。
映画3作の監督のインタビューやら評論やら未収録の短編やらが載っている。
この「持ち上げ」はSFというジャンルを盛り上げるための半ば意図されたものだったんだなーとか、「夭折の作家」などとシリアス風味で宣伝されるけど実のところ結構茶目っ気ある人だったんだなーとか。
結局のところ何が「蘇る」なのかは残念ながら読み取れなかったが、ともあれ様々な視点からの「伊藤計劃」が見られて面白かった。
SFマガジン700 国内篇
「SFとは何か」というのは極めて難しい問いである。
「科学的な空想」という語義そのままに考えるならばこの世のありとあらゆるものは科学的であるわけで、恋愛小説だってSFだとこじつけられなくはないし、果ては物語という形態そのものに挑戦したような作品だってSFとなりうる。
およそ人の持ちうる想像力の到達点、それがSFなのだ。
この本はそんなSFの幅の広さを思い知らされる短編集だった。
最初の手塚治虫の『緑の果て』のようなド直球なものから秋山瑞人の『海原の用心棒』のような意思の存在について考えさせられるよなもの、円城塔の『Four Seasons 3.25』のような物語という概念そのものを利用したものまで、様々な種類の「SF」を満喫できる。
ライチ☆光クラブ
少年たちの狂気と機械の自我のめばえ、そして崩壊。
大人たちや周囲の世界を「醜い」と唾棄するが、着実に近づいていってしまうジレンマ。
古くは『十五少年漂流記』や『蝿の王』、アニメでも『無限のリヴァイアス』や最近だと『鉄血のオルフェンズ』のような「年少者の社会」ものが好きな人間としては、短いながらもエッセンスが凝縮されていて面白かった。
妖しい雰囲気と絵柄が非常にマッチしている。
越天の空 下巻
実のところかなり前に読了していたのだが・・・
上巻後半からグッと政治要素が増して面白くはあったのだが、一方で(読むのを中断していた期間が長かったせいもあってか)終盤の急展開には正直ついていけなかったこともあり、賛否いずれの感想も持てなかった。
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