サーバ障害とか天候とかに邪魔されつつもなんとか観れたので感想を記しておこうと思う。
この作品は単純明快な感想を持つには難しく、長尺であることも手伝って他の観客の反応もイマイチだったものの、それでも僕なりには面白かったなぁと思った。
そんなこんなで若干ネタバレあるかも注意
作品紹介
『クラウド アトラス』(原題: Cloud Atlas)は、2012年のSFドラマ映画。2004年に発表されたデイヴィッド・ミッチェルの小説『クラウド・アトラス』を原作とする。映画は19世紀から文明崩壊後までの異なる時代に舞台を置いた6つの物語をグランドホテル形式で描き、キャストは一人につき複数の人物を演じ、各エピソードにより主役が脇役を演じ脇役が主役を演じるという、複雑な手法が取られる。
クラウド アトラス - Wikipedia
感想
この作品ではクラウド・アトラス=雲の世界地図というタイトルどおり、時代によって人・事象の善悪などの価値観が移り変わってゆく様が描かれている。
時代での価値観の移り変わり
たとえば人類全体の幸福の願いを込めた原子力技術が後世では文明崩壊の道具となったり、他愛もない娯楽映画が革命のきっかけとなったり、他にも僕が取り損ねた要素があるかもしれないけど、とかく「事象の善悪」などというものは時代で変わってゆくことが強く表現されていた。
それでも変わらないもの
しかし6時代全てにおいて一貫して描かれたテーマに「束縛からの解放・自由の渇望」があるように思う。
奴隷からの解放や養護施設からの解放、地球からの解放など、スケールや対象は様々ではあるけれど、全ての時代において人の自由への希求が大きな主題となっていたように見えた。
自由と共同体愛と
『1984年』などの古典SFでも描かれるように、またアメリカというお国柄もあって「自由」というものの価値は無条件に肯定される風潮がるけど、この作品においてはそれだけでは読み取れないものがある。
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個々の自由への渇望が時には共同体を破壊し、文明を崩壊に至らしめることもある。
ある視点からその行為を見た時に、必ずしもそれが善としては映らないというのが、この6時代を並行して描いた作品のキモなのかなと僕は思う。
まとめ
原作についての感想などを読む限りだと転生についてもテーマ性になっているような雰囲気だし、映画でも同じ俳優が別時代の別人物として兼役するなどそのあたりはあるが、映画ではあまり転生というオカルティックな要素に強さを感じなかった。
一方、人や日記や映画といった現実的な物によって、時代を超えその時々の価値観の差異を超えて「自由への意思」が通じ合うという表現は面白かった。
各時代の表現やストーリーには特別新しい想像力を感じなかったし、「〜あるべきだ」的な教訓じみた話でもないためわかりやすい感想を得るには難しい作品だと思うが、それでも言葉にしがたい何かが心に重く残った。
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余談
エヴァQを観てからこの方、本作品をはじめ「終わりゆく世界」とか「世界の敵になる」というテーマ性が面白いなぁなんて思う。
個人的に本作とも通じるものを感じるのはアフタヌーンで連載されていた「EDEN」で、この作品も決して一般受けするものではないが、読んでいて考えされられる作品だ。
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