そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

『オブリビオン』観てきたよー

こんなお話

未来の地球。

エイリアン「スカブ」との戦争には辛くも勝利したものの、地球の環境は激変し、もはや人の住めない惑星となっていた。

人類は土星の衛星タイタンへと移住し、わずかに軌道上のステーション「テッド」とエネルギー採掘のためのスタッフが地球に残る状態となっていた。

主人公のジャックも通信士のヴィクトリアと共に地球に在留して、スカブの残党から採掘機械を守るためパトロールを行う日々だった。

ある日、飛来した宇宙船を見つけるまでは・・・

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感想

さて、実際に観た感想なのだが、ドローンの不気味な描写やテンポよく挿入されるアクションのお陰でテンションを保って観られる、万人向けの娯楽作品としては上々の出来だとは思う。

しかしSFファンとしては、常に新たな「想像力」を求めるものであり、そういった観点で見ると映像にも設定にもストーリーにも「新しさ」を感じることは出来なかったのが不満である。



以下不満な点。ネタバレ含む







クローン人間

正直なところ「資源採掘のために惑星に派遣」という設定の時点で『月に囚われた男』が頭をよぎっていた。

あちらは「人間が同じ人間にあれだけ非人道的を」という資本主義のショッキングさがあったのに対して、こちらはエイリアンという明確な敵が用意されてしまっている分ショッキングさが薄い。



そして何者かに使役される「作られた人間」と作られた「世界」という面でも、『マトリックス』シリーズの想像力と比較してしまうとひどく弱々しく感じられる。



それに、あれだけの科学力を持つエイリアンが敢えてクローンを延々使う必然性があるように思えなかった。



ヴィクトリアにしても、もう少し「作り物の愛」と「本物の愛」との対立とかもう少し深め様があったはず。



そして根本的な話になるが、クローン人間に記憶が共有されることがどうにも気に食わない。(ハリウッド映画じゃよくあるけど)

普通に考えて肉体はコピーできても記憶まではコピーできないはずだし、「できるものだ」という解釈で観たとしても、敵は都合よく記憶消せるはずの設定なのがネックだ。





「世界の敵」になるということ

主人公の「世界の敵になってしまった」という絶望感があまりにも薄いように思う。
立場的には『エヴァンゲリヲン新劇場版:Q』のシンジくんみたいなものなはずなのに、だ。エヴァQは単体の作品としては決して面白いとは思わないけれど、その辺のテーマ性の鋭さは流石だと思う。)




せめて「本物の自分」は意図的に人類を裏切ったとかそういう展開があれば良かったのだけれど、主人公は完全に巻き込まれ型だからそういう驚きもない。



だいたい、『インディペンデンス・デイ』よろしくな自己犠牲で全部解決みたいな収め方ってあまり好きじゃない。



総論

性格柄不満点ばかりをつらつらと書き連ねてしまったが、出来は全く悪くないと思う。

話の盛り上がりの配分は絶妙で、観ていて気を抜けるところはなかった。

SFファン的には物足りないにしても、万人向けエンタメとしては調度良いサスペンス具合だとも思う。


・・・あと戸田奈津子字幕はあかんね、色々