そろそろ書かないと忘れてしまうので、雑多だけども感想をば。
映画『SHORT PEACE』予告編映像 - YouTube
本作はオープニング+4つの短編からなる映画。
九十九
行商の男が森で雨宿りのために入った祠で、人々が捨てていった物に宿る神「付喪神」に出遭う話。
いかにもな3Dモデリングに最初は正直「うぇ」と思ったのだけれど、3Dメガネをつけているわけでもないのに、道具箱や神々の今にも画面から飛び出してきそうな表現は凄かった。
「SHORT PEACE」九十九15秒PV - YouTube
GAMBO
少女と白い熊と鬼とモノノ怪狩りの話。
前二作品とも純に「和」なテイストだったのでこの作品その類かと思ったが、実は鬼はエイリアンで、というSF的な設定が面白かった。
アニメ好き的に人型のアクションは見慣れているのだけれども熊の戦闘描写はちょっと新鮮。
武器よさらば
戦争により荒廃した都市で兵器狩りをする部隊が自律戦車と遭遇して戦闘する話。
SF好き的には一番観ていてワクワクした。
強化装甲服での人の限界を超えたアクションと、しかしそれすら寄せ付けない自律戦車の絶望感が凄い。
攻殻機動隊の対戦車アクションが好きな人なら楽しめると思う。
「SHORT PEACE」武器よさらば15秒PV - YouTube
多大な努力にも関わらず無残に散ってゆく仲間達。
主人公は偶然にも戦闘服を脱いだことにより、戦闘力なしと判断され、攻撃対象から除外される。
しかし脅威は去れども、武器は消えても仲間を殺された憎しみは消えない。
戦闘している画面では自律戦車と人が同一画面上にはほとんど表れないため、観ている側としても恐怖感がかきたてられるが、終盤の主人公と自律戦車が並んでいるシーンでは意外と小さくてある種の愛嬌があるあたりが皮肉が効いている。
舞台がどことなく日本を匂わせてること以外には、他の作品ほど如何にも「日本」な感じはしないなぁと思ったけど、考えてみると「鶏が先か卵が先か」みたいな虚無感ある話の作りは凄く日本的な気がする。
夢で会いましょう
「武器よさらば」の悲惨なのにコミカルなラストシーンから、どこか間の抜けた印象すら受けるこの歌がフェードインしてくる。
そう、全てはジャパニメーションという短い夢、SHORT PEACEなのだ。
この映画はあまりテーマを深く考えるというよりは、「赤ずきんちゃんは狼に食べられてしまいました、ちゃんちゃん」みたいな話の展開と、それを彩るアニメーションの映像表現を楽しむ作品である。
そんなわけで、アニメという技法そのものを愛し楽しめる人にはオススメできる映画だと思う。
ショート・ピース (アクション・コミックス―大友克洋傑作集)
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ちなみに僕はこういう表現自体を楽しむ作品というジャンルだと、立喰師列伝を推したい。
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「立喰師のいた戦後日本」という偽史を山寺宏一が全編ナレーションする。
世間的にタイトルを聞く機会が全くないので、あんまり評判が高い作品ではないかもしれないが、僕はすごく好きだ。