そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

ここが残念だよ『エンダーのゲーム』

今だに正月疲れが抜けない今日この頃で、職場じゃガチで炎上案件と化してる同僚よりもよっぽど疲れて見えるという不思議。


さて、今日は原作が日本のアニメ・ゲームに大きな影響を与えたらしいという本日公開の映画『エンダーのゲーム』を観に行ってみた。

公開初日の初回に行ったにも関わらず席はスカスカ。

タイトルがダサいとかCMがイマイチとかそういうのもあるだろうけど、あんなに宣伝に金かけてそうな映画で池袋という立地で席が埋まらないというのはちょっと辛いんじゃなかろうか。

そして内容そっちのけで吹替声優の舞台挨拶スケジュールありサイン特典ありということで若干嫌な予感はあったのだが・・・

吹き替え役者押しの外画は…

本作は、50年前に敵勢宇宙人フォーミックの侵略をかろうじて退けた世界が舞台。

人類はフォーミックの再来襲に備え、世界中から選抜された子どもたちは軌道上の士官学校で学んでいた。

設定の未消化感

本作では先に述べたように来るべき脅威に備えた社会が舞台となっている。

いるが、、、これが今ひとつ緊張感が画面から伝わってこない。

例えば『戦闘妖精・雪風』のように意図的に「風化した脅威」として描くならそれもありなんだが、軍が強権をほこっていたり親兄弟の発言の端々を見る限りはそんな意図は無さそうなんだが・・・


そして主人公達はひたすらタブレットゲームと無重力サバゲーに興じているだけに見えて、訓練にイマイチ「苛酷さ」が伝わってこない。


更に言えば、エヴァファンを意識してかCMではさんざん「禁断のサード」という単語が出てくる。

これは、作中の世界では第二子までしか認められず第三子からは特別な申請が必要で、第三子はいじめの対象になっていて・・・という設定があるのだが、作中では全くと言っていいほど活かされなかった。


また、本作で一番肝心の「最終兵器」についても割と設定がフワッとしてるせいか、主人公でなければ・あの作戦でなければいけなかったという説得力が薄い。


全体的に作中の世界の緊張感が全くと言っていいほど伝わってこなかった。


さっぱりキャラに感情移入できない

「サード」同様にCMで押されるのが「戦うことへの苦悩」の要素なんだけど、これも実際のところ作中ではわずかに出てくる程度。

平和主義な役どころなはずの姉にちょっと促されればサクッと説得されて戦線復帰する。

そして作中の時間経過の描写が薄いことが原因だと思うんだけど、主人公が作中で言及される性格の割にはあまりにも順応性がありすぎる。


本作のもう一つ大きなの心理的要素として「父性愛へ餓え」というのもあるが、実の父は描写が薄くてあまり冷徹な感じはしないし、ハリソン・フォード演じる大佐もなんだかスタンスがフラフラしてて結果として身勝手な良く分からないオッサンという風にしか映らない。

(本当は社会の大義と人間性の間での葛藤があったりする深いキャラなんだと思うんだけど・・・)


どうもこの作品は全体的にキャラの葛藤に取って付けた感がある。


余談だけど、自分の部屋に突然 松本人志 似の刺青おじさんが現れたらみんな普通に躊躇なく蹴り飛ばすと思う。


さほど映像的に面白い場面がない

そして残念なことに、本作は視覚的な面白みも乏しい。


訓練の無重力表現など頑張りは感じるのだが、スピード感もなければ驚きもない、決して目新しくもない映像になっている。

(近いタイミングで『ゼロ・グラビティ』という同種の極地を見ているせいもあるだろうが、、、)


そして、物語の一番の盛り上がり所である終盤の艦隊戦についても、主人公が指示側のキャラだから致し方ない部分はあるとはいえ、どうも遠くから傍観してるような印象を拭えない。

(内容的には正しいのだけど、対比として「リアル」映像と「シミュレータ」映像を出した方がインパクトあっただろうし、最後の展開の驚きにも繋がったと思う)

流石に口頭指示だけじゃってことなのか『マイノリティ・リポート』よろしくジェスチャー操作を大写しでやるのだが、振り付けがゆったりしてるせいもあるのかあまり画面映えする美しさはなく、台詞と相まってどうにもサムい感じに映ってしまう。



新年早々でひたっすら批判的な話で我ながら何なんだよという感じだけど、本作に感じる不満の多くは要は尺の足り無さに起因してるように思う

何というか面白そうなアニメの総集編回を見せられたような印象があって、個々には盛り上がり所や面白い場面はあっても、単体の完結した作品として見せられると今一つな感じ。

これ、士官学校編と艦隊指令編の二部作にして、もっと心境変化とか大人側の事情とかをしっかり描けば面白かったように思う。

設定とかキャラ配置とかのレベルでは、SFアニメの源流を感じる点は単純に興味深く、「原作はきっと面白いんだろうな」と思わせる作品だった。


本当は「画面の中で完結する戦争」と「実際の敵」との対比とか、そういうテーマ性もあるんだろうなぁ。