最近うちの部署に入ってきた新人が一見すると全くそうは見えないけど実は結構な某戦国武将アニメ好きで、業界的な特性を差し引いたとしても世間のアニメに対する間口は広がってるんだなぁと感じずにはいられない今日この頃です。
さて今回は表題の通り『45歳からのアニメ入門』感想。
- 作者: 安田理央,田口こくまろ
- 出版社/メーカー: 安田理央
- 発売日: 2013/08/04
- メディア: Kindle版
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「苦手」の理由
「おいおい、まどマギの感想とか書きまくってる奴が何をいまさら入門するんだよ」という感じではあるけれど、実のところ僕も「萌え系」に分類される作品は苦手だったりする。
萌え系の絵柄に対する抵抗はないのだけれど、キャラクターの魅力主体で引っ張ってく感じの作品はどうにも楽しめない。
萌え要素そのものは問題ないのだけれど、+αの部分で楽しめる要素が見出だせないと、どうにも見続けるのが辛くなってしまう。
本著の著者も、アニメ的な表現(絵とか演技とかテンポ)への不慣れとは別に、「男が出てこない、当事者として参加できる視点がないこと」が苦手の要因だと述べている。
これは僕も同じで、結局のところ共感性の持ちどころが無いと物語に没入しきれないのが原因なように思う。
これに対し、著者への師匠役の方は「当事者としてではなく神様目線」で見られるかが勝負の分かれ目だと述べている。
(そういえば僕も、どういう流れだったかラノベ好きの友人と似たような会話になり、共感性を求めない「作品の読み方」にある種のカルチャーショックを受けた経験がある)
感覚を拡張して「楽しい」を見つけよう
さて、著者は様々なアドバイスを得ながら自身と親和性のあるジャンルの作品からフォーマットへの不慣れを克服し、見事「俺の嫁」を見出すことに成功する。
この慣れていく工程を、著者は「感覚が拡張された」と表現している。
僕もこの「感覚の拡張」ってアメコミ映画で体感していて、あれも単なる子供向けアクションではなく、米社会のメタファーだったりするという視点を持つと、何倍にも楽しめるようになる。
「萌え」とか「アクション」とかいった直接的で感覚的な部分に作用するジャンルのものは、例えば「政治経済」とか「SF」とかいったより複雑そうに見えるジャンルと比べるととかく低俗で無価値だと切り捨てられがちである。
だけど、当たり前だけど作品の価値はフォーマットではなく何を描けているかが重要だし、それを読み取るにはそれなりに文脈を理解している必要がある。
著者はこう述べる。
「ちょっと努力して、自分が楽しめる対象が増えるんだったら、損はないんじゃないかな、と思うのですよ。」
何事も見下さずに努力してでも楽しさを見つけていこうという姿勢は見習っていきたいなと思った。
そんなわけで、本著はアニメ好きからしても、自分がなぜそれを好きなのか「感覚」を客観的に見られるという意味で面白い本だと思う。
おまけ
ちょっとテーマ的に近いところで最近観ていて面白いなぁと思ったのが、録画の消化で観た『アウトブレイク・カンパニー』。
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「異世界に飛ばされた主人公な何だかんだでハーレム状態」で「他作品のパロディネタを多様」なラノベ原作のアニメなので、その要素だけだと正直苦手感がある。
けれど、全体にパロネタも萌え演出もストーリーのテンポを阻害しない程度に止めて(かといって十分キャラの魅力は伝わった)、コメディ要素の中に巧みにシリアスな本題を組み込んで来ていたのが好感触だった。
ナデシコといいこの作品といい、どうも僕はコメディノリ主体の中に不意打ちのようにシリアスな本題が入ってくる作風がツボなようだ。