やたらと前評判が良く、かと思えば試写会の評判は微妙だったりして非常に気になっていた作品だったのだが、なるほどといった感じ。
タイトルからすると世代がらトレンディな鳥人戦隊が頭をよぎるところだが、話の内容的にはどちらかというと初代平成ライダーとその経歴を封印している主演俳優を連想した。
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長回し
本作の大きな特徴が、映画一本がまるごとワンカットに収まっていること。
巧みな編集と迫力ある演技により、最初から最後まで目を離す隙のない作品となっていた。
長回しといえばキュアロン監督の『ゼログラビティ』が記憶に新しい所だが、あちらが画面内外の時間経過を共有することによって体感性を獲得していたのに対し、この作品では視点変更と時間経過の表現とによりさながら舞台の一幕を見ているような気分にさせられた。
「バードマン」という存在
本作についての感想を眺めているとたまに見かける、そこ読み違えちゃあかんやろーというポイントが主人公にとっての「バードマン」という存在。
役者志向だったリーガンにとっては単なる過去の栄光ではなく、同時に消し去りたい苦々しい経歴でもあるのだ。
CG制作費と爆薬使用量だけが自慢の派手で安易なヒーローアクションを見下していて、だが一方でそのジャンルの中での「自分ではない自分」を超えることができないというジレンマ。
(僕は最近のアメコミ映画には中々良いテーマ性を備えたものも多いと思うんだが・・・)
病的なまでの「夢」
分不相応な夢を諦めきれず、理想と現実のギャップに苦しみ、周囲との関係は上手く行かず、見下しているものに生かされているという屈辱。
個人的にこのあたりには職業人の感覚として「分かる」部分があって何とも切なくなった。
(Web進化論的なネットの理想を胸に抱きながらも、しかし実際に日銭を稼ぐために作っているのは何が楽しいのか分からないしょうもないポチポチゲーム・・・)
本作は「良い話」に収めず、ただただ病的なテンションのまま幕を閉じる。
この「赤ずきんちゃんは狼に食べられてしまいました、ちゃんちゃん」的な感じに対してはなんとも感想を持ちづらいところではあるが、少なくとも「表現」は文句なく面白いと思う。
ゲラゲラ笑えるタイプのコメディでもなければ泣ける「良い話」でもない、決して万人ウケするタイプの作品ではないが、「夢」に覚えがある人ならばきっと楽しめるのではないだろうか。