そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

漫画『鋼の錬金術師』感想

 『鋼の錬金術師』といえば実写映画が悪い意味で話題に上ったりする昨今だけど、それとは特に関係なく単にKindleがセールだった機会にちゃんと読んでみようと思って大人買い。思い立ったらすぐ買えるし場所も取らないし、良い時代になったものである。

 アニメも原作も断片的に押さえていた程度で、一貫したストーリーとしては中央刑務所のあたりまでしか把握していなかったのだけど、改めて全部を読んでみて構成の巧みさに驚かされた。それぞれ個別の話だと思っていた要素が、壮大な陰謀のひとつの線に繋がってゆく展開には気持ち良さすら感じた。


 どこか柔らかさのある一見するとほのぼの系の絵柄なのだが、それとは裏腹に「何かを得ようとするならそれと同等の対価が必要だ」という言葉に象徴されるように結構ハードで毒のある物語なのが魅力だ。

 人体錬成に挑み身体を失ったエルリック兄弟をはじめとして、錬金術に関わる者たちは皆どこか欠落を抱えている。屈強な肉体を持ちいかにも豪傑といった風情のアームストロング中佐も、なんでも完璧なように見えるマスタング大佐でさえも。

 物語が進むにつれて壮大な陰謀が明らかになってくると共に、キャラクターの厚みが増してくる話運びは実に見事だった。


 この作品は二度アニメ化された他に、それぞれでオリジナルストーリーの劇場版が作られており、特に二作目の『~嘆きの丘の聖なる星』が結構評判も良さそうなので気になるところ。幸いにしてNetflixの方にありそうなので、暇を見つけてチェックしておきたい。