『DEATH NOTE』は直撃世代ということで、これはスルーするわけには行くまいと思って観てみたのだが・・・
舞台がアメリカに移っただけに留まらず、キャラクターにもかなり手が加えられている。夜神月にあたるライト・ターナーは秀才ではあるけれど原作のような万能感ある天才ではなく、あくまで地味な一学生といった感じ。父も警察局長ではなく一刑事であり、海砂にあたるミアもアイドルではなくチアリーダーになっている。全体的に原作の設定上の「特別さ」が取り払われ、「普通の少年がひょんな切っ掛けから巻き込まれて」というストーリーラインに寄せられている。
今にして思い返せば『DEATH NOTE』はライトの少年漫画の主人公らしからぬキャラクター性がフックになっていたように思うわけで、最初からそれがかなぐり捨てられしまっているように見える。つまり「普通」のサスペンススリラーになってしまっているのだ。
ミアを単なるライトのフォロワーという立ち位置では無くし、その好意は本物なのかというギミックを用意したところは意外と嫌いではない。だが、そんなことは帳消しになるぐらい、原作の良さが理解されていない節があった。
何より絶望的なのは、ネットでも方々で言われるように「天才同士の対決」という要素が損なわれてしまっていることだ。原作の静かで熱い天才同士の先の先を読む戦いだったものが、見事にキャラクターが叫びながらアクションする感じになってしまった。そして色々な無茶を成り立たせるために、無駄にノートが使いやすい設定になってしまったのも味消しだった。
そんなわけで、総じて「普通」というのがこの作品への感想になる。原作のとがっていた部分を全てそぎ落とすと、こんなにも凡百のサスペンス作品になってしまうんだなーという感慨と、逆にいえば原作の面白さを改めて思い返した。
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ついでにいえば、日本の実写映画の方も好みの差はあれど、結構上手く映画化してたんだなーと思った。スピンオフとか続編とかは酷かったけど。
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