そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

『ブレードランナー2049』感想

 待望のブレードランナーの続編がついに上映開始!ドローンありプロジェクションマッピングありと21世紀らしいアップデートが加わったブレードランナーの世界を堪能してきた。

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サイバーパンクの風景

 ブレードランナーといえばなんといっても無機質な町並みと無秩序な広告、そして多言語入り交じった雑踏の風景である。不健全でグロテスクでありながら、それでいて躍動的で妖しく美しい不思議な魅力がある。

 我が国の相対的な衰退や全世界的な反グローバリズムの流れを鑑みると日本語まじりの未来予想図はもはやリアリティのあるものではなくなってしまったのだが、代わりにレトロフューチャー的な趣を感じる。(個人的には未来の都市は『パンツァークラウン』で示されるような属性による無意識的な棲み分けが進んでいくんじゃないかと思っている。)

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 また、遺棄され砂にまみれた都市の描写なんかは前作よりむしろ原作寄りといえるかもしれない。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

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まがいもの達の魂

 主人公Kをはじめとして"絵に描いた美少女"なジョイ、圧倒的な存在感の敵役ラヴに街にひそむレプリカント達と、あらゆる意味において「まがいもの」達の物語である。

 Kとジョイとの関係性には『her/世界でひとつの彼女』や『エクス・マキナ』を連想させられた。(本作ではそこまで掘り下げられなかったけど・・・)

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 作られたものへと愛情を抱く行為は他者からは滑稽にも見えるが、VRゲーム『サマーレッスン』やチャットボット『りんな』に対する人々の反応にもあるように「人間っぽく見えるもの」に対して不可抗力的に感情移入してしまうのも否定できない事実である。彼女たちが愛情を注いでくれているように見えてもそれはそういう製品だからではあるのだが、逆説的にいえばそこに愛を感じてしまうことこそが受け手の人間性の証左である。


 ただ、ダックタイピング的に「有り様こそが魂である」「嘘偽りばかりの世の中でこの思いは本物」というもって行き方は好みであるものの正直見飽きた部類の話であり、2017年に3時間弱のSF大作のメインに据えるにはいささか弱いテーマだなという印象を受けてしまった。個人的な好みでいえば、もっと時間を削ってシンプルにするか、さもなくばもう少し話に起伏を持たせるかして欲しかった。



 ラヴが想像以上に強烈な存在感を発揮していたしスピナーの立体的なカーチェイスにはかなり迫力があった。21世紀の技術でアップデートされた町並みの映像美にも魅了された。

 一方で物語としては、観客的にはもうなんとなく謎が解けてるのに登場人物が右往左往してるのを長々と見せられることによる不快感がちょっとあった。終わってみればシンプルなストーリーラインなんだけどリアルタイムでは提示される情報が少なすぎて上手く伝わってこない箇所もあり、続編への色気があるのかレプリカントもウォレス社も勢力を保持したまま作中世界の問題は持ち越しという消化不良感もあり・・・

 映像もテーマ性も好きか嫌いかでいえば間違いなく好きな部類ではあるんだけど、一本の映画としてみるとどうにも脚本の据わりが悪くて素直に面白いとは言い難い、なんとも歯切れの悪い感想になってしまった。後で聞いた話では本当は4時間近い編集だったものを削ったとの事なので、僕があまり良い印象を持てなかったあたりが本来はもっと色々肉付けされていたのかもしれない。完全版みたいな形で出たらぜひとも観てみたいところ。


 他に書き所がなかったのでここに書くけど、都市外の住民がスピナーを落とす際のアナクロな武器がちょっとフェチ心に刺さった。


 前作は観たことはあるんだけど、当時はそこまで意識してなかったから何版なのか分からないんだよな・・・↓は全部収録されてるらしいので見比べてみたい。

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