そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

「アルゴ」観てきたよ~

週末は専ら目黒シネマに入り浸っている昨今。

 

この目黒シネマというのはいわゆる名画座というやつで、

少し前の(たまにかなり前のも)映画を二本立て¥1500で上映している。

 

 

 

また、入場時に配られるパンフレットに付いている割引券を次回持って行くと¥200引きになり、

更にポイントカードを貰うと5回入場で1回無料になるという、

金なし趣味なしで時間だけはある僕のような若者には有難い週末の暇つぶしスポットである。

 

 

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そんなこんなで、今回の上映は80年代アメリカ特集ということで「アルゴ」と「ロック・オブ・エイジズ」の二本立て。

 

特に「アルゴ」がグッと来たので感想のひとつも書いてみたいと思う。

 

 

 

 

・時代背景

 

かつてイランでは民主主義的に選出されたモサッデグ首相は石油の国有化を進めて国民の支持を集めていた。

 

しかし、石油の独占支配を狙うイギリス・アメリカの支援によるクーデターによって、

親米のパーレビ国王が権力を回復すると、イランは急速に独裁国家化していった。

 

そして79年、代わりに民衆の支持を集めていたイスラム原理主義勢力によるイラン革命により、

パーレビ国王は失脚・アメリカへと亡命することとなった。

 

 

 

・アメリカ大使館人質事件

 

イランの民衆は元国王に裁きを受けさせるため身柄の引渡しを望み、

デモが遂にアメリカ大使館への襲撃と占拠・人質監禁へと発展する。

 

そんな襲撃の最中、大使館の職員のうち6人が大使館を脱出し、

カナダ大使の私邸に匿われていた。

 

しかし、国外へのルートは厳重に監視されており、

もし見つかれば6人はスパイの嫌疑によって処刑されかねない。

 

 

 

・なぜアメリカは元国王を引き渡さないのか?

 

おそらくアメリカ側に不都合な情報をかなり握っていたのではないかと思われる。

 

 

 

・なぜ軍事的な作戦を行わないのか?

 

この手の人質救出物の場合、すぐに思いつくのは武力的な解決を図る方法である。

 

しかし、そのような手段をとった場合、中東からのアメリカへの反発は必至であり、

エネルギー政策に大きな痛手を被りかねない。

 

アメリカとしてはできるだけ穏便に解決する必要があった。

 

 

 

 

そんなわけでCIAで考案されたのが、6人を映画の撮影スタッフと装い、

映画のためのロケハンを行なっているように偽装して国外に脱出させる、

この「アルゴ」作戦である。

 

 

6人の反発や予定外の事態、民衆の緊張感あふれる映像など、

派手なドンパチが無いにも関わらず全編ハラハラしながら見られた。

 

 

個人的には映画冒頭で事件までの時代背景を丁寧に説明していた点で、

これにより「野蛮な中東の宗教国家VS被害者のアメリカ」という印象にしなかったのに好感を覚える。

 

 

 

劇中のイラン・アメリカ両国や、劇中での架空の台本『アルゴ』でも、

民衆は何か悲劇があると「わかりやすい、殴っても構わない悪」を探してしまう。

 

しかし現実には単純な悪など存在しない。

 

例えば時代背景を見るとアメリカの自業自得なように見えるが、

しかし大使館職員がその責任により処刑されるのは理不尽であるし、

じゃあ事件を起こしたイラン人が悪いかというと彼らは彼らなりの正義を全うしたにすぎない。

 

単純な善悪論による衝動に駆られるだけでは、悲劇を繰り返すことになってしまう。

 

 

 

単純に映画として面白いし、世界史にも興味がわく、

テーマも示唆に富んだ久々にグッと来た作品だった。

 

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