そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

「AURA〜魔竜院光牙最後の闘い〜」観てきたよー

AURA〜魔竜院光牙最後の闘い〜 観てきたのでその感想。
劇場アニメ『AURA~魔竜院光牙最後の闘い~』公式サイト





高校1年生になったばかりの佐藤一郎は、ある日忘れ物をとりに夜の校舎に忍び込んだところ、青いローブを身にまとい、金属製の杖を持った美少女と出くわした。彼の望んでいた平穏な学生生活は彼女に振り回されることで次第に遠ざかり、絶望の淵に落とされるが…
AURA 〜魔竜院光牙最後の闘い〜 - Wikipedia







ネタバレあるかもなので注意。








まず思ったのが、表現は漫画的で極端にしてはあるけど、心理としては凄くリアリティあるところを突いてるなあということ。

主人公の自分より「上」だと思っているクラスメートに対するコミュニケーションのぎこちなさとか、現実逃避の妄想に半ば自家中毒的にハマり込んで肥大化した自意識によって自滅する感じとか。
僕自身はマンガもアニメもない教育熱心な家庭に育ったこともあって元ネタが乏しく、いわゆる典型的な「中二病」にはなれなかったのけど、そういう感覚には非常に共感を覚える。


特に体格にもルックスにも頭脳にも恵まれてない僕達は「特別」にはなれない。
「特別」でない僕らを無条件で愛してくれる他人なんていないから、「何者か」にならなくてはいけないのだけれど、かといってそれは容易くはない。
そして安易に他人とは違う何者かになろうとして、自分だけの世界にハマり込んでいく悪循環。

「狭量なんだよ」「誰が?」「現実が」

作中に描かれたドリームファイター達の無力さを見るまでもなく、そういった自己完結は現実には何らポジティブな影響を及ぼさない。
闘っているようでいて単に逃げにしかなっていない。

いつかは「特別でない」自分を受け入れて、面白くも優しくもない現実と戦わなければいけない。

(まあ主人公もヒロインも十分にビジュアル良いから成り立つお話だってのはあるけど、作中の白ランとか吸血鬼とかが主人公ヒロインだと視聴者的に色々辛すぎるしそこはスルーで)





話のプロット自体は、雑に言えば90年台エロゲーからの典型的な「不幸な女子を救いたい」系なのだけれども、原作からそうなのか意図して省略したのか、ヒロイン良子に安易に「可哀想エピソード」を用意しないのは良かったなと思った。
僕は実のところ「不幸少女萌え」って見下しの感情が前提となっている感じがして凄く嫌いなのだけれども、そういう方向性よりも「自意識との折り合い」みたいなところに話の重点が置かれてるのは良かったなと思った。





作品の感想としては、色々とオタク的な文脈に理解がないと説明不足な感じがして、展開が唐突に感じられる部分が少なくないなという印象を受けた。
もっとも僕だって原作は未読だし、「涼宮ハルヒの憂鬱」を楽しめる層になら十分に楽しめるかなといったところ。

設定とか描写とか、そりゃもちろんツッコミどころは少なからずあるんだけど、そんなもの本作の要旨からすれば些細な問題だと思うんだ。

原作が全一巻ということもあり、尺的には収まりが良かったのは好印象。

あと花澤さんのヒロイン適正は天賦のものがあるな。






追記

原作ラノベのAmazonを見てみると、好評にまじって「主人公の上から目線が鼻につく」という感想があり、なるほどそういう風な見方もあるわなと。

例えば僕も『ラストサムライ』とか『アバター』みたいな「社会的強者が社会的弱者に同情して肩入れして正義漢気取る」みたいなストーリー性ってなんだか気持ち悪くてダメなんだけど、そういうのと似た感覚なのかなと思った。


ただ、本作に関して言えば主人公って一見「上手く一般人になれた社会的強者」に見えるけど、実際は「頑張って演じてはいるけどなりきれない弱者」なままであり、ラストで自分の弱さを受け入れてさらけ出すことによって主人公自身が救われる展開なんだと僕なりには消化している。