そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

『ロッキー』『ランボー』、ダメ男の輝き

東京新聞のCMを見かける度に気持ち悪さで鳥肌が立ちますね。(注:季節の挨拶)



最近はめっきり寒くなり、週末も部屋にこもってばかりな昨今。

できることといえば録り貯めたアニメやら映画やらを消化したり、ゲームをやったりする位な今日このごろ。


「録り貯める」といえば、普段僕らが働いている午後の時間帯や眠っている深夜帯には、結構な頻度で古い映画を放送していたりする。

「名作」と言われているものをどんどん観ていきたいと思う身にはありがたい話である。


さて、最近観て面白いと思ったのが表題シルベスター・スタローン主演の2作品。

どちらの作品もイメージだけはありつつもしっかり鑑賞ことは無かったのだが、観てみるとなるほど確かに「名作」と呼ばれるだけのことはあると感じた。


ランボー』ベトナム帰還兵の哀しみ

ランボー』といえばサバイバルナイフやアーチェリーでマッチョが縦横無尽に暴れまわるイメージだけがあった。

いわば『コマンドー』のような退役軍人のお馬鹿無双アクション映画だと思っていた。


しかし、実際に鑑賞を始めるとそのイメージは一気に覆される。


ランボー [Blu-ray]

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主人公ジョン・ランボーは泥沼のベトナム戦争からの帰還兵。

社会に馴染めず、かつての戦友を訪ねに彷徨うように田舎町を訪れる。

ランボーが失意にくれ街に行こうとする道すがら、彼を不審者だと感じた保安官に逮捕される。

その風貌への偏見から、取り調べとは名ばかりの嫌がらせを受ける中で、ランボーはベトナム時代に受けた拷問がフラッシュバックし、衝動的に保安官を倒して脱走してしまう。

そして、ランボーの意志に反して警官隊との戦闘はエスカレートし、遂には街を崩壊に追い込むほどの大事件に発展してしまう。


これはタイトルからイメージされるようなアウトローヒーローの物語ではない。

今で言うところのPTSDを描いたシリアスな作品なのである。


ランボーは米国の正義を信じてベトナムで戦った。

しかし、帰還してみれば褒め称えられるどころか、世間からは反戦デモで罵声を投げつけられる。

国のために身を捧げ、政府のいう正義を信じ戦ったランボーにとって、それはあまりにも残酷な現実だった。


もはや「平和な社会」にランボーの居場所は無かった。

ランボーには戦争こそが安らげる居場所だったのだ。



実際に本人がスタントを行ったリアルで迫力あるアクションシーンは目を見張るものがあるのだが、それに以上にこの不器用な社会不適合者をシルベスター・スタローンは見事に演じている。

(というか本人の癖のある英語や風貌がピッタリすぎるだけか)


ちなみにランボーは続編として『怒りの脱走』『怒りのアフガン』『最後の戦場』が作られているが、それらは残念ながら完全に単なる「アウトローヒーローの無双アクション映画」になっている。


余談だけど、MGSシリーズをやった後でランボーシリーズを見ると、結構オマージュがあることに気づかされて面白い。

『ロッキー』ボンクラの輝き

『ロッキー』といえば、言わずと知れたスポ根映画である。

過酷なトレーニングと熾烈な試合、そして有名なBGMのイメージが強い。

しかし、スポ根ものというベタすぎるテーマでありながら、名作と呼ばれるだけの上手さがある。


ロッキー [Blu-ray]

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主人公ロッキー・バルボアは、ボクシングだけでは生計を立てられず知人の高利貸しの取り立てを手伝って口糊を凌ぐゴロツキ。

しかし、彼に一世一代のチャンスが訪れる。

世界チャンピオンのアポロが、話題性のために無名選手のロッキーと対戦するというのだ。


この作品で個人的にグッと来たのが、序盤のロッキーのロクデナシぶり。

才能はあるが努力はせず、ジムの指導者のミッキーにも見放されている。

見渡せば頼れるのは街のゴロツキだけで、親友もクズ野郎なポーリー。

ロッキーはどこまでも不器用で、そのまま街角で朽ち果てていきそうな薄のろのボンクラなのだが、これがまたスタローンが適役!

ストーリーもシンプルそのもので低予算故に派手な演出は控えめだが、だからこそ序盤のド底辺から這い上がるドラマに移入できる。

すべては試合前の「勝てない。でも15ラウンドまで立っていられたら、下町育ちのボンクラじゃないと生まれて初めて証明できる。」というセリフに集約されていると思う。


そして、安易にロッキーの勝利での幕引きにしないところも良い。

世間的な勝利とは違う、「真実の勝利」の演出が感動を誘う。


さて、こちらの作品も2〜5、そしてファイナルが制作される。

続編では残念ながら演出が大味になっていき、展開も「スランプ→周囲の人間に叱咤による再起」を繰り返すだけのマンネリ化していってしまう。

シルベスター・スタローンって・・・

僕はシルベスター・スタローンというとどうしてもラジー賞の常連というイメージがある。

大物俳優を配役する側的にも役者自身としても、格好わるい役よりは格好良い役をやりたいという気持ちもあるのかもしれない。

けれども、あの人って格好よい役ではなく、不器用で冴えない男の役をやってこそ光り輝くと思うんだよなぁ。