そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』観たよー

冒頭から終始「狂乱」と形容するよりほか無いハイテンションな演出と、それに負けないディカプリオの怪演!

大金持ちになりたいというありがちな野心を持った若者が、機会と周囲の人間に恵まれて器として「金持ち」という名のモンスターと化していく。

株がそうであるように、彼の会社も富が(良くも悪くも)名声を産み、その(善悪問わず)名声が富を集め肥大化していく。

(このあたりはMEDIA MAKERSの内容を彷彿とした)

MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体

MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体


当初は「大金持ちになって家族と幸せに暮す」のが目的だったはずが、嫁を美人に変え、いつしか親の死よりも口座の金を心配するようになり・・・

(それでも自身の家族には執着するあたりは人間らしい)

逮捕されようが実刑を受けようが、金の呪縛からは開放されない。


「金融の魔人」というと『ウォール街』を思い出すところだが、ゴードン・ゲッコーの人外の如き冷徹さに比べると、ひたすらドラッグ・アルコール・セックスで「狂う」ことで自分を保ち、よくも悪くも周囲の人間に支えられているところが妙にリアリティがあって面白かった。

彼が「悪人か否か」で言えば、誰かを踏みつけにしてのし上がる間違いなく悪人だが、しかし一方で周囲の人間には富をもたらし、馬鹿で下品ながら「夢」のある熱狂的な職場を描くあたりにキャラとしての説得力がある。

ウォール街』の方でいうと作者的には空虚な資本主義批判のつもりで描いたはずがゴードン・ゲッコー に憧れる人間を量産してしまったという故事があるが、こちらの作品の場合はひたすらに「ああはなれねぇわ」と心底思わせることで批判としているところが技ありである。

「富を得た代わりに幸せを失いました。ちゃんちゃん」みたいな安易なロジックではなく、結構ありえそうな(というか実話が元だけど)形で描いていたあたりにこの作品の価値があるように思う。


幸せのちから』とかその他の「アメリカンドリーム」作品でよく証券会社が舞台になったりするけど、あれって結構ブラックな職場環境だよなぁと思う。

(余談だけど、あの作品て全然「良い話」じゃないと思うんだよな。あれが好きって人の感性疑う)

結局そこに「夢」があるから成り立つわけで、そういう顧客の「夢」を喰らう野心家たちの「夢」をさらに喰らう資本家の…みたいな構造が垣間見える。

ウォール街狂乱日記―「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生

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ウルフ・オブ・ウォールストリート 上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

ウルフ・オブ・ウォールストリート 上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

ウルフ・オブ・ウォールストリート 下 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

ウルフ・オブ・ウォールストリート 下 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)