主人公ウォルターはLIFE誌の出版社でネガ管理部に務める、妄想癖のある冴えない中年。
密かに同僚のシェリルに憧れながら、毎日代わり映えのしない地味な仕事していた。
そんなある日、職場に大きな転期が訪れる。
LIFE誌のオンライン化に伴いリストラを実施するというのだ。
時を同じくして、写真家のショーンから表紙を飾る「傑作」のネガが送られてくる。
だが、その肝心のネガが見当たらない。
リストラの危機に立たされたウォルターはネガを求め、ショーンの取材先であるグリーンランドに向かうが・・・
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妄想の世界
序盤から目を引くのが、ウォルターの妄想の世界の表現。
さながら今敏監督の作品のような、どこから現実と乖離したのか分からないような表現。
日常の中で突然訪れるシェリルの危機にヒーロー的な活躍をし、その非現実的な展開にハッと妄想であったと気付く。
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てっきりこの表現が主体になってく感じの作品かと思ったが・・・
風景美・色彩美
とにかく本作の画面構成が秀逸だなという印象がある。
どのような場面で切り取っても本当に「画になる」のだ。
特にアイスランドの草原、火山、雪の山肌のダイナミックな映像は、ただそれを見ているだけで心を動かされるものがある。
まさに「現実が妄想をも越えていく」という感じなのだ。
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(個人的にはアメリカ都市での場面も地味にグッと来たが。)
「働く」ということについて
結局のところウォルターは上司に設定された期限までにネガを探し出すことはできず、彼はあえなくクビになってしまう。
仕事としてネガを追う必然性は無くなってしまうのだ。
だが、それでも彼はネガを追うことを決意する。
「傑作」を世に届けるために。
そういう仕事への彼なりの美学が、最後の展開につながっているのだと僕なりには思った。
宣伝的には華やかな映像や「冒険で人生が変わる」みたいな所に焦点を当てられがちな本作だけど、個人的にはその裏側の地味な日常にテーマのある作品だったように思う。
冒険家のように華やかではなくても、地味でつまらない仕事であっても、それに美学をもって挑む人々は美しい。
そんなことを考えさせられる作品だった。