そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

『APPLESEED α アップルシード アルファ』感想

本日公開された『Appleseed Alpha』を早速観てきた。

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フルCGアニメ映画というと直近では『楽園追放』が記憶に新しい所だが、あちらがCGモデリングをアニメ的な絵柄に落としこむ作品だったのに対し、本作は真逆の実写のような画作りをする作品だった。


本作は士郎正宗氏のメジャーデビュー作『アップルシード』の映像化作品であり、劇場作品としては2003年の『APPLESEED』、2007年の『EX MACHINA』に続く3作目。

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ただし、話としてはオリュンポスへ行く前を描いたリブート版。

更に言えば旧一作目がサクッとオリュンポスへ行って「その後」がメインだったのに対し、こちらはその前の一事件をフィーチャーした感じ。


実写のようなCG、のはずなんだが

「実写のような」という触れ込みのフルCG映像作品というと世代的には2001年の『ファイナルファンタジー』あたりからよく見かけるようになったが、記憶にある限りでは成功事例が思い当たらない。

(『AVATAR』も当初は役者を含めフルCGで製作する予定だったものが、結局実写とCGの組み合わせになった。)

止め絵ならばほとんど実写と見分けの付かないようなCGも作成されるようになった昨今ではあるが、動画となるとリアル故に逆に細部の違和感が顕著になってしまう。


本作についていえば、確かに昔の作品のようなカクカクさは感じなかったものの、主人公デュナンの表情にどこか固さのようなものを感じてしまった。

更にいえば、今作では遠景からの画面が多いのだがこれがイマイチ遠近感が無く、またオブジェクトの動きについても重量感が足りないように見えてしまった。

全体にゲーム中のムービーをひたすら眺めているような気分になってしまった。


また、これはCGではなく元々英語で撮ってた故の問題だと思うのだけれども、セリフとアクションに違和感があった。

口パクは勿論なんだけれど、身振り手振りに関してもどうもセリフのニュアンスとタイミングが合っていないように思える場面が多く見受けられて残念だった。


そもそも題材として厳しくないかね

映像面について置いておくとしても、やはり絶望的に魅力が足りない印象をもった。

主人公デュナンについては写実故にキャラクターに『楽園追放』のようなアニメ的な萌えは無いし、わざとらしすぎる胸開きのアーマーにはむしろ白けてしまった。

そして平気でバンバン銃を撃つくせに、仲間が殺されると「殺すなんて酷い・・・」と言い出すことには違和感しかない。

双角とかブレアリオスとかの造形はそれなりに良かったとは思うのだけれど、アクションについては(超人的ではあるけれど)等身大の人間のそれで、あまりサイバネの設定が演出として活きていない印象を受けた。


(ちょっと記憶が怪しいところがあって、もしかしたらちゃんとそういう世界観の理由付けがあったかもしれないけれど、)何を目的にしてるんだかいまいち分からない巨大多脚砲台が出てきて、そして動くのは自動なのに人が乗らないといけないのも、話の流れとして力技すぎる気がした。

いやそういう巨大兵器が出てくるのは士郎正宗氏の作品の持ち味で様式美なのは分かってるんだけども、やっぱりああいうのはマンガだから受け入れられるノリなんだなーって映像を観ていて思ってしまった。

(最近の作品だと『紅殻のパンドラ』でも似たような巨大兵器が登場するけれど、アレなんかそれこそリアリティとは乖離したマンガだからこその表現であって、実写っぽくされてもなって気がする)

紅殻のパンドラ (1) (カドカワコミックス・エース)

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オリュンポスが出てこない以上、ディストピア的な面白味も乏しく、しんどいなというのが正直な感想。



余談だけど、僕の中では旧二作も駄CGアニメなイメージがある。

観たのが大分前なので具体的に何がダメだったのかすら覚えていないけれど、逆にいえばその位の印象の作品なんだよなぁ、アップルシードシリーズ。