昨年にはドラマ化され、柳楽優弥の怪演でも話題になった本作。
かくいう僕も再放送で後発ながらハマったくちで、原作漫画も全巻買い集めていたりする。
- 作者: 島本和彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/09/25
- メディア: Kindle版
- 購入: 1人 クリック: 1回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
先日リリースされたAmazonプライムビデオのラインナップにドラマの方が入っているので、 暇を見つけては観なおしたりしている今日この頃。
- 発売日: 2014/07/25
- メディア: Amazon インスタント・ビデオ
- この商品を含むブログを見る
さて本作は何が面白いかといえば、 オタク的なウンチクやら熱血マンガ的な暑苦しいリアクションやらももちろん魅力ではあるんだけども、 個人的には職業観みたいなとこで共感できて楽しいような痛々しいような気分にさせられる。
主人公の焔モユルはキャラ名どおりひたっすらに暑苦しくて、 マンガとかアニメとかの世界で生きていきたいと情熱を燃やしている青年。
だが、それなりに才能もありそれ以上にプライドがありながら、 一方で何ら「確固たるもの」を持っていないのだ。
色々なものに手を出してみて自画自賛してみたと思えばもっと優れた他人を見ては打ちのめされ、 周囲を見下しながらも自分にも何ら実績はなくどこか打算でしか動けなくて。
このあたり、なんとなくで流行りの技術に手を出してみたり技術書の山を積み上げたりしては悦に浸りながら、 かといって本気で深めることもなく実際的に役立つところまでもっていけない自分と重なるようなところを感じるのだ。
やれフロントエンドの需要が高まってきたからとJSフレームワークに手を出してみたり、 やれデータサイエンティストが流行だというので解析系をかじってみたり。
それなりに興味があるのは本当だし、人並み程度には素養はある(と思い込んでいる)が、 移り気すぎて何らモノにならない感じ。
そういう軸の無さというかブレブレな感じというか、そういうところに妙に共感を覚えてしまうのだ。
Webに限定したところで「LAMP環境」の時代からすると随分と幅が広がってしまった。
興味を持ったこと全てをフォローするのは物理的に無理だったりするわけで、 どこかにアタリを付けて深めていくのがベターなのは分かっている。
が、かと言ってどこかに決め打ちするほどの決心もつかない。
漫画を読んでいると(あるいはドラマを観ていると)1巻に一回はモユルに対して思うのが、 「グダグダ言ってないでさっさと書けよ」という気持ち。
モユルって熱血なようでいて、意外と言い訳ばかりして行動しないのだ。
ちょうどエンジニア界隈にも似たような言葉に”Shut the fuck up and write some code.”、 『Webサービスのつくり方』の訳を用いると「ぐだぐだ言ってないでコードを書けよ、ハゲ」というのがある。
ドラマの最後の展開しかり、行動があってはじめてチャンスはつかめるのだ。
結局、「えいやっ」とやってみるより他にないのかもしれない。
追記
すっかり語り忘れてたけど、もう一個個人的に共感出来た点が、主人公が結構「技術のコストパフォーマンス」みたいなものを気にしていること。
エンジニア的に重要なアルゴリズムだのパフォーマンスだのといった部分とは別に、素人がパッと見で凄そうに見える(言い方は悪いけど「ハッタリの効く」)技術要素を持ってると職業人として生きやすくなるなーというのを実体験もあって感じていたりする。