バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 アルティメット・エディション 〈4K ULTRA HD&3D&2Dブルーレイセット〉(初回仕様/4枚組) [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
- 発売日: 2016/08/10
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個々のシーンは映像表現の力により非常にエモーショナルな仕上がりなのだが、 一方で話全体でみると「うーん・・・」となってしまう。
個人的には物凄く好きな場面も多くある一方で、 全体としてはとっ散らかった、あまり万人にお勧めしづらい作品という印象。
『マン・オブ・スティール』
- 発売日: 2013/12/18
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本作を観るにあたってまず最初に注意しておきたいのは、 前作にあたる『マン・オブ・スティール』は必ず観ておくこと。
物語の始動から何から、かなりの部分で前作と関わりがあるため、 未見の状態で観に行ってしまうと全く話が理解できない恐れがある。
さて、そんな前作『マン・オブ・スティール』、はっきり言って評判はあまり良く無い。
理由は非常によく分かる。
単純にスーパーマンが設定上強すぎて物語的にワクワクさせられるものが無いし、 その葛藤は共感することは難しい。
そして、物語の影で起きていたであろう甚大な被害へのフォローが無いのだ。
だが、本作を観た後では、それも狙ってのものだったんじゃないかと思えてくる。
本作ではそこが物語の出発点となる。
スーパーマン
あらゆる攻撃に耐え、空を飛び、目からはビームを発する。 異星人であながら地球人のために活動し、彼らを導く規範たろうとする。
比べることが馬鹿馬鹿しいほどに人類を超越した力を持ちながら愚直なまでの善性を併せ持つ、 「正義の味方」を体現した存在、それがスーパーマンだ。
前作・本作と共通することだが、彼の活躍は常に光が溢れ、どこか神々しく描かれている。
このあたりの映像的な表現の出来は素晴らしく、 作中の彼に救われた人々と同様に、どこか信仰にも近い感覚を励起されるのだ。
前作にも共通して言えることだが、 飛び立つ前のしゃがんでグッと力を貯める/周囲の空気が張りつめる/地面からにわかにチリが浮かびだすあたりの描写が僕はどうしようもなく好きだ。
だが、スーパーマンも万能の存在ではない。
その華々しい活躍の影で、取りこぼされた者たちやその戦いに巻き込まれた者たちが生まれる。
そして何より、人類の規範を超えた「個人」を社会は許容しきれない。 彼の善性を疑い、力を恐れ・・・
バットマン
スーパーマンが「人類を超越した存在」であることと対象的に、 本作におけるバットマンはとかく「人間」であることが強調される。
筋力トレーニングに励み、銃火器を躊躇なく使い、目的のためには非合法な手段をも辞さない。
己すらも「犯罪者」と認識し、その上で法で裁けない「悪」のカウンターとして暗躍する。
全体的に動機付けが弱いかも
そんな「光」と「闇」の正義のあり方の違いが軋轢を産み、 レックス・ルーサーの企みによって対決となるのが本作の物語なのだが・・・
本作はあらゆる箇所で動機付けの弱さが辛いなという印象。
スーパーマンの「副作用」を批判するにはバットマンはあまりにも当人が汚い手段使いすぎだし、 「選択」の話は本作でも言及のある『ダークナイト』の方で散々やった後だ。
- 発売日: 2013/11/26
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「バットマン VS スーパーマン」という構図は元来「私的な正義 VS 公共の正義」として使われていたところだけど、 本作においてはどっちも結局のところ「私的な正義」を押し付けあってる感じで上手い対立軸なようには見えないのが辛いところ。
悪役たるレックス・ルーサーも(多分続編のためだとは思うけど)結局何がやりたかったのかよく分からない。
結果的に、バットマンが恐怖の粘着サイコ野郎という印象になってしまった。
よく分からないなりに夢の対決を演じてはみても、「え、それで納得するんだ?」という感じで和解するし、 挙句見どころは途中から乱入のワンダーウーマンに持っていかれる。
(一応擁護すると、あれはたまたま母の名前が同じだったからみたいな雑な話ではなくて、訳の分からない理由で戦ってると思っていた者が実は自分と同じく「かけがえのない大切な人のため」という動機で戦っていたんだと気付いたから和解できたということなんだと思うけど、やっぱりちょっと演出上手くないよね)
派生作品への色気を出しすぎで観ていて「え、何?」という場面の挿入がちょいちょいある。
アクション的にはスーパーマンが設定上強すぎて「危機的状況」のハラハラ感が全くないのが辛いし、 相対的にバットマンが活躍させづらさも透けて見えた。
「スーパーマン」という題材で大人な物語を作ることの難しさをひしひしと感じた。
でも好きなシーンはいっぱいある
そんな感じで個人的には全体的にはイマイチな感想になってしまったけど、 一方で冒頭でも述べたように映像的に好きなシーンは多い。
序盤の前作最終局面の裏側を描いたシークエンスでは、 惨状の中でスーパーマンの戦いを見上げるブルース・ウェインの怒りに妙に感情移入してしまった。
その一方でクラーク・ケントのむき出しの善性とスーパーマンの神々しさにはグッと来るものがあった。
何より全体的にアクションは凄まじいまでの迫力がある。
マーベルの作品が単品でも楽しめる気軽なエンタメ志向なのと比べると、 DCは文脈ありきで楽しむ作りになっている印象を受けた。
本作で前作のフォロー的な要素があったように、続編で色々と補完されて印象が変わる部分もあるかもしれない。
今後の展開が楽しみではある。