- 作者: スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー,望月衛
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2007/04/27
- メディア: 単行本
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出版以来ベストセラーとなり、派生本も多く出版されている本書。
かくいう僕も派生本である『ヤバい経営学』を以前に読んでいて、 視点の面白さに感心したものだった。
そんなわけで今回、元になった『ヤバい経済学』の方を読んでみた。
本著の内容は、「経済」という言葉から連想されるいわゆる金まわりの話題に留まらず、 「集団におけるインセンティブの影響」全般を扱っている。
相撲の八百長をネタとしてインセンティブと不正行為との関係性を述べた一章からはじまり、 麻薬の売人の「憧れ産業」としての実態を解き明かした三章や家庭環境と子供の将来の関係性を統計的に観測した六章など、 バラエティ豊かに「人はどう考えどう動くか」が描き出されている。
個々のテーマそのものも刺激的ではあるが、何より感心したのが著者の「なんとなく」を疑い直感的にはどう調べればよいかも分からないようなネタを「科学的」も扱う発想の柔軟さである。
個人的には、学生のテストの正当の連続性から教師の不正を見破る話なんかが面白いと思った。
直接的には数値化出来ない要素を間接的なところから推計し、 事象の関係性を解き明かす。
このあたりは、どことなく僕の今の業務との近さを感じて面白かった。
とかくソーシャルゲームでは、 どのようにインセンティブを与えて運用側に都合の良いようにユーザを誘導するかを考えなければいけないわけだが、 必ずしも読み取りやすい形でデータに表れるとは限らない。
そういったものを考える方法論を学ぶという意味でも、本書は有効なのではないだろうか。