そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』感想

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を観て、 これはおさえておかねばいけないなと思い借りてみた。

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実のところ前作『アベンジャーズ』は僕の中ではあまり評価が高くない。

「日本よ、これが映画だ」という挑発的なキャッチコピーではあったが、 蓋を開けてみればスケールだけはやたらと大きな物語に無理やりキャラクターを集合させただけのうっすーい作品だった。

そんなわけでリアルタイムでは続編たるAoUもスルーしていたのだが…

いやー、先にシビルウォーを観たことによる割増感が大きいとは思うけど、 伏線が各所に埋め込まれていて存外面白かったですな。


あらすじ

アベンジャーズはソコヴィアのヒドラの要塞を攻略しロキの杖を回収する。

その戦いの中でチタウリの軍勢による敗北を幻視させられたアイアンマン=トニーは、 アベンジャーズの戦力の限界を感じてしまう。

トニーはロボットによる戦力の増強を考え、 キャプテン・アメリカ=スティーブたちには秘密で杖の力を用いた人工知能ウルトロンを開発する。

だが、ウルトロンはアベンジャーズに反旗を翻して暴走してしまう。


正義の副作用

本作の序盤ではアベンジャーズの活動の影の側面、 彼らの戦闘に巻き込まれた市民の被害と反発が描かれる。

これはそのまま新キャラのバックグラウンドでもあり、 より強大な戦力によりそれを防ごうというトニーの発想がウルトロン開発の一因にもなっている。

本作においてはそこまで大きく焦点が当てられているわけではないが、 これがシビルウォーへとつながるテーマとなっていくのだ。


正義のためにと力を行使することにより被害が出てしまうため、 それを防ぐためにと更に力を求め…というジレンマは『ダークナイト』を彷彿とさせられた。

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「世界の警察」アメリカの現状とリンクするのだろう。


トニーの独善性

作中でも「正しいと思ったことは何でもやる」と評されているように、 トニーの独善的な面とそれによる他のメンバーとの溝が強調される。

仮にウルトロンの暴走が無かったとして、 「誰かの考える正義」を忠実に守るロボットが大量生産され世界中に配備され、 いついかなる時も見張りがいるという状態が、 果たして「平和」といえるのだろうか。

そこはかとなく『ドローンオブウォー』が連想させられた。

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メンバーに相談せずにウルトロンを開発し結果として暴走したということ以前に、 彼の独善的な公共主義者としての側面がそこはかとないスティーブとの不和の予感として描かれていた。

そして、本作の手痛い失敗がシビルウォーにおける彼の立場を決定づけることになるのだ。


スティーブの孤独

一方でスティーブの側についても、影となる側面が描かれている。

70年間を氷漬けで眠っていたことにより、彼には帰るべき家も友も失ってしまった。

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わずかに残った者についても時間による変化は否めず、 彼はどうしようもなく孤独なのだ。

それこそが異様なまでのバッキーへの拘りの要因でもあり、 繰り返し登場する「団結」という空疎な言葉とは裏腹な他のメンバーとの埋めがたい距離感ともなっているのだ。

最後に「アベンジャーズこそが帰るべき場所だ」というような発言があるが、 だからこそシビルウォーでそれを裏切ることとなることの重みが感じられる。



仮にシビルウォーを観る前に本作を観ていたならば、 歪に要素が散りばめられた、出来の悪いお祭り映画として消化していたかもしれない。

だが、「シビルウォーの前作」としては様々なつながりが感じられて非常に楽しめた。