- 作者: けものフレンズプロジェクトA
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/03/25
- メディア: 単行本
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いやー、良かった。制作陣には「ありがとう」の言葉以外ない。
最初はネタ的な盛り上がり方で僕自身も「まあ流行りは押さえておこう」みたいなスタンスで観始めたのだけど、 いつの間にか一番次週が楽しみな作品になっていた。
後付け的になら良かった点をいくつも挙げることはできるけど、 それを集めてみたところでこの作品の魅力を再現できる気がしない、 本当に特異点みたいな作品だった。
やりすぎない感じ
「放送開始時点で既にソシャゲはサービス終了済み」というメディアミックスが初まる前から失敗しているという状況のネタ感や 「すごーい」「たーのしー」がミームとしてTwitter上で話題になっていた、話数でいうと5話あたりから僕は観始めた。
タイトルから受ける印象と同様にどこか気の抜けた作風、 いかにも低予算なCGモデリングの画面に最初は「え、これ5分枠じゃないの!?」と驚いたものだった。
ただ、それでもちょっと良いなと思ったのが、 ソシャゲもラノベも露出チキンレース気味な昨今にしてはキャラデザが落ち着いていて、 いかにも萌え系っぽい媚び媚びな台詞や演出が案外無かったこと。
ちょっと間の抜けたキャラのモデリングも手伝って振り切りすぎない感じが結果として観続けやすい印象となった。
また、メインの商売たるソシャゲがサービスが終了していることの影響もあるのかなと思うが、 メディアミックス的な販促感が薄いのも良かった。
もしこれがまだサービスやってたら、 きっと義務のように毎話でセルリアン出して、出会ったゲストキャラの見所あるバトルして・・・みたいな安易な販促展開になってしまったんじゃないかとも思う。
行間を読ませられる脚本
SFファン的に妙に興味を惹かれたのがゆるい冒険の影に見え隠れするポストアポカリプスな退廃感。
話題となっていた廃園した遊園地の使ったED映像の不穏な感じから始まり、 人類の滅亡を予感させる諸々の遺物や台詞に否が応でも物語の裏側を想像させられた。
こういう魅力は『Fallout4』の面白さにも近いかもしれない。
サンドスター自体はまあガンダムでいうところのミノフスキー粒子みたいなものだから置いておくとして、 フレンズはどうやって生活しているのか、人類はどうして消えたのか、そしてかばんちゃんの正体はなんなのか・・・
物語が進む中でどんどん「あれ?」っと思う要素が出て来るんだけど、 それが投げっぱなしにならずに数話先で何とはなしに答えがサラッと会話の中で提示されたりする感じがクイズの答え合わせのようで面白かった。
こういう週刊というフォーマットのワクワク感には方向性は違えど『まどマギ』と近いものが感じられた。
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認めたり褒めたりって大事だよね
各所で言われてることだけど、本作の大きな魅力の一つが他のフレンズの違いを受け止める作品のスタンス。
特にエンジニアという商売を生業にしているせいか「勉強しなきゃ、他人に無い価値を身につけなきゃ」みたいな世界観で生きてる側面があるわけで、 そうやっているうちにどこか他人を素直に認められず何かケチを付けたくなってしまったりするようなメンタリティーに陥ってしまう部分も少なからずあると思う。
でも、組織というのは色々な人の能力を組み合わせて一人で出来ないことを実現するものなわけで、 時には他人を意識的にでも褒めるというのも必要なことだなと思い出させられるのだ。
それがキャラクターへの愛着に
そうやって作品についてあーでもないこーでもないと考えているうちにさながら一緒に冒険しているかのような感覚になり、 それがいつの間にかキャラクター達への親心にも近い愛着にも変わっていった。
11話のショッキングなシーンでは変な呻き声が出てしまったし、 だからこそ12話には王道の展開ながらも胸が熱くなるものがあった。
冒険を経たカバンちゃんやサーバルちゃんの成長にはグッと来たし、 珍道中がまだ続くことには素直に嬉しくなった。
コンテンツビジネスとして結びつきやすいせいか安直なライトエロとしての「萌え」ばかりが取り上げられることが多いが、 こういうキャラクターを応援したくなるような気持ちこそ本来的な「萌え」だよなーと再確認させられた。
そんなわけで、色々な要素が奇跡的に組み合わされてけものフレンズの独特の魅力が構成されていたように思う。
冒頭でも述べたが、観終わってとにかく「ありがとう」という気持ちが浮かぶのだ。
何かしらお金を落とさなきゃ申し訳ない気持ちすら湧いてきて、 遅ればせながら全巻ポチってしまった。
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今の熱狂はいつか過ぎてしまうものだと思うけど、 それでもいつかふと思い出したように再生して、 また同じように感動できたら良いなと思うのだ。
あとED曲は一押し。
このアニメのために作られた曲というわけではないらしいけど、 歌詞には妙に冒険を思い出させられるものがあって・・・
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