そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

『鉄血のオルフェンズ』感想

いやー、終わりましたねオルフェンズ。

一期の「すごいのが来たな」という雰囲気と比較すると二期は中だるみ感もあればやっつけとしか思えない箇所もあっていくらかテンションも下がってしまったけれど、それでも全体としては新鮮味があって面白かったと思う。

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(一期最終話のようなキャラを殺すべき場面で殺せてないように感じる箇所があったかと思えば一方で在庫一掃セールのような雑としか思えない話数もあったけど、あれはBPOとかスポンサーとかの横槍で思うように物語を動かせなかった結果なんじゃないかなーと邪推)


若者たちが時代に抗い、為す術なく押し流されていく物語だった。

無力に踏みにじられるだけの存在でいたくはないと、ただただまともな居場所を得たいと足掻いてはみても、所詮は世間から見れば社会を乱すならず者集団でしかない。

時流に乗って分不相応な立場を得るも、切り捨て可能な暴力装置として良いよう利用された挙げ句、ガンダムフレームや阿頼耶識システムと共に古き時代の徒花として散っていった。


サプライズが無いのが逆にサプライズ

個々の武勇が時代を変えることはできず、都合の良い奇跡も起こらず、ごくごく順当に擦り潰されていく。

伝説の機体には何ら特別な力は無いし、ラスボスが巨大兵器を駆って戦場に馳せ参じるようなこともない。

そもそも仮にアリアンロッド艦隊を倒しマクギリスが勝利したとしても、それで実現される世界はおそらく宇宙海賊が跋扈し裏社会が幅を利かせている現状とそう変わらないだろう。

「身内」にできる範囲は限られるわけで、鉄華団もいずれはCGSのような組織になってしまっていたかもしれない。

ガンダムというシリーズが「リアル」を標榜しつつもどこか持ち続けていた漫画的な爽快感といったものを完全にかなぐり捨てて物語が完結したことには驚きすら感じた。


とはいえ作劇的にはもう一盛り上がりほしかったという気持ちも正直ちょっとあって、 例えばバエルにはきっとモビルアーマーを操る力があって、そもそもセブンスターズの英雄性そのものが偽りであり・・・的な展開を予想していたんだけど。


善悪の相対性

思えば一期の鉄華団の躍進の頃から何かと不穏さがついて回っていたし、二期の最初には鉄華団の活躍が必ずしも世の中を良い方向に進めてはいないことが示されていた。

鉄華団自身が別に正義を標榜してはいない、というか作中の世界観からすればかなり後ろ暗い組織だし、逆に倒すべき敵であるエリオン候は汚い手を使うにしても彼なりに社会の安寧を目指した行動をしている、ある意味では紛れもない社会正義である。

人物像としての善悪と実際に行動した結果とは必ずしも一致せず、どの立場から見るかで評価が変わるような作りになっている。

そういった世界観の中で清濁併せ呑みながらも実利を取ることのできる人間が生き残るという物語性は非常に現実的だと思うし、その逞しさには一期の頃と同様に惹かれるものがあった。


アニメや漫画において意外とこういう「妥協しながら前に進む」ことのできるキャラクター像って珍しい気がする。物語の世界では自分の信念を曲げず、ぶつかって砕ける方が尊ばれやすい。だけど、昨今の政治状況しかり、エンジニアとしての職能しかり、この歳になると柔軟に取捨選択をしてクレバーに実利を掴み取れるマインドこそが本当の「強さ」なんだと感じたりする。

そういうところが本作は新鮮味がありグッと来たりするところだったのだ。


ダインスレイブと英雄

色々な感想を目にするに、本作への批判点の一つが禁止兵器ダインスレイブの地味さだったりする。

精々MSを一機破壊できる程度の威力の飛び道具なわけで、過去作品の大軍を一掃し戦況をひっくり返すような最強兵器・禁止兵器と比べると見劣りするという意見はもっともだと思う。 けれど個人的な解釈では、あれは威力や残虐さというよりもセブンスターズの威光の源たる「英雄性」を損ねないための禁止だったんだろうなと思うところ。

ガンダムフレームすらダインスレイブの一斉掃射の前には無力だし、十分に準備を整えさえすればモビルアーマーにだって対処可能だったんじゃなかろうか。

そんな時代に過去の英雄性にしがみついた治世を続けることはできない。

そういった意味でラスタル候が古き時代の武勇の象徴である鉄華団の殲滅に拘ったのと以後の民主化への選択は繋がっているんだろうなと思う。


というか、そういう理屈は抜きにしても、雑魚機のダインスレイブ一斉掃射の前にはどんな強キャラも無力だという描写はすごくツボに刺さるものがあった。



納得がいかなかった者=ライドのその後だったり、厄祭戦がどういうものだったのかとか、そもそもモビルアーマーはなぜ作られたのかといったところを空想させられる。

そうやって作品についてああでもないこうでもないと考えさせられるあたり、大河的な強度を持った面白い作品だったように思う。

終盤のモビルスーツを義務のように出してはそそくさと退場させる感じは本当に勿体なかった気はするけど。

ヴィダールのバーストサーベルを活かした戦闘とかもっと観たかった。


制作陣的に狙ってのものなのかは分からないが、僕にはガンダムU.C.へのカウンターのように読み取れた。

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神話性へのロマンとか問題を「託す」か自ら解決していくかとか、色々な要素が対称的なように思える。

第1話 鉄と血と

第1話 鉄と血と



そういえば本作でシリーズ構成やってる岡田麿里氏の自伝出たっぽいすな。

この人の関わる作品は「最終的に面白い」かどうかは割とムラッ気があるけど少なくとも途中途中では「楽しませてくれる」ような印象があって個人的には結構信頼感があったりするんで、どういうバックグラウンドを持った人なのか気になるし積み本消化できたら買ってみようかなと思ってるところ。

学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで

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