そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』感想

 かつての名作ドラマをアニメ化した話題作。僕は残念ながら原作の方を全く観たことが無いで比較してどうこう言うことはできないが、その分新鮮な気持ちで楽しめるだろうということで早速観に行ってきた。

 TLに流れる感想を眺めると熱心なアニメファンからの厳しい意見もちらほら見かけたりはするけれど、俗な感性と笑われるかもしれないが僕にはどうしようもなく琴線に触れる映画だった。

 作画が~とか声優が~とか言われてるけど、僕は全く気にならなかったんで批判には全然共感できないんだよな・・・。確かに題材とシャフト的な演出の食合せはあまり良くないと思うけど、その辺も今作は控えめになってるように見えるし。


 だいたいにして題材からして卑怯ですな。友達ゆえの牽制とも譲り合いともつかないやりとりとか、少し大人びた女子の幼さと色気とが同居している感じとか、子供であることのどうしようもない無力感とか。そういう要素からして無条件に心を揺さぶられるものがある。

 祐介の言動の一貫性の無さに戸惑う感想も見かけたけど、僕はむしろそこにあの年頃の自分でも制御しきれない気持ちとしてリアリティを感じた。照れくささや友人に遠慮する部分があり、でも一方で好きだという気持ちにも偽りは無くて・・・ループを繰り返す中で微妙に異なる会話から真意がうかがい知れる。

 なずなのその時々で大人っぽくも見えれば年相応の子供に見える表現も上手く効いていて、その危うさに心引かれてしまうものがある。なずなはきっと本当のところは典道でも祐介でも良くて、典道だってそれはどこかで気付いていて、それでも好きな子の泣く姿には居ても立ってもいられなくて何かをしてあげたくて。

 「恋」ではあっても「愛」には至らない甘酸っぱさとか、無駄だと分かっていても抑えられない子供じみた衝動とか、どうしても心に刺さってしまうものがあった。


 要素的に似たところが多いため『君の名は。』と比較するような言説も見られるけれど、あちらは「運命の出会い」というファンタジックな題材を写実的な映像で描いていたのに対してこちらは子供のありふれた一方通行の初恋というリアリティある題材を幻想的に描いていて、当然話の持って生き方は全く異なるわけで、あまり安易に並べて比較すべきものじゃない気がする。

 本作と近しい題材ということでいえば、個人的には『秒速5センチメートル』が思い浮かぶところ。

秒速5センチメートル

秒速5センチメートル

 欠片の下りからの最後の画には解釈の余地がある作りをしているのだけど、僕なりには「美しい思い出」や「都合の良い幻想」に引きこもるのではなく「これからの可能性」を選び取ったのだと読んだ。なずなが引っ越してしまうことは子供の力ではどうやったて曲げられない。でもそれが永遠の別れなわけじゃない。会いに行くことだってできる。

 子供の頃、僕は大人になっていくことに「芽を間引いて手堅い可能性を育てる」ようなイメージを抱いていた。でも、そうやって流されるままにしていては後悔することすらできないということに結構良い歳になってようやく気付いた。そんな感慨もあって、可能性の欠片を掴むイメージには作品が描いていること以上に感じ入るものがあった。


 そんな感じで個人的には本作はかなり肯定的に見てるんだけど、気になったところが全く無いわけでもない。

 ノスタルジーを喚起させるべき題材なのにアヴァンギャルドな学校や制服デザインはちょっと合わないものを感じてしまったし、やっぱり登場人物の言動は原作通り小学生の方がしっくり来るように思う。

 あと車内での歌は(原作あるんで仕方が無いことではあるけど)年代設定からすると流石に古すぎる印象だなー。90年台ポップスあたりの方が合ってたんじゃないかと思う。


 しかし、「ワンピースの新刊」というキーワードの僕らのようなアラサーから今の子までいける全年齢対象感すごい。1巻が97年の発売で、今86巻まで出てるんだなー。

ONE PIECE  1 (ジャンプ・コミックス)

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ONE PIECE 86 (ジャンプコミックス)

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 今作を見ると結構アニメゆえの表現がいっぱいあったし、原作との差異がどんなものなのかは気になるところ。AmazonかNetflixで配信してくれないもんかなー。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? [DVD]

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