そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

『オリエント急行殺人事件』感想

 例年通り正月イベントを全く無視して映画の日ということで『オリエント急行殺人事件』を観にいってきた。

オリエント急行殺人事件 (角川文庫)

オリエント急行殺人事件 (角川文庫)

 有名タイトルながら内容を全く(ポアロシリーズだってことすら)知らなかったので新鮮な気持ちで見れたんだけど・・・これは名作というよりも奇作とか問題作とか表現すべき部類の作品じゃないかなー。あの結末はミステリーとしては反則に近いと思うんだよね。


 エルサレムの華麗にして猥雑な街並みや鉄路の行く雄大な自然と客車の密室の映像美には惹きつけられるものがあった。ポアロのキャラ立ちも非常に良くて、卵のサイズへのこだわりやマスクをしてまで整えた髭やら、とかく偏執的なまでに「違和感」に鋭く、それが探偵の資質となっている表現は面白かった。

 ただ物語的にいうと、先に述べたようにミステリーという枠組みからすれば奇作の部類だと思うわけで、こういうのはオーソドックスな連作の中にあることで意味を持つ作品だと思うんだよね。これ一作だけポンと出されてしまうと、単に納得感の薄いだけの映画になってしまう。

 そういう部分を成立させる「強度」を保つためにも「名優たちが必要だった」というのは確かだわなー。


 どうやら続編が作られることが決定しているらしいけど、順序的にはむしろ普通のミステリーを先に持ってきた方が良かったと思うんだよな。