そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

小説『メタルギア ソリッド サブスタンスI シャドー・モセス 』感想

 前々(ピースウォーカーファントムペイン)から思っていたが、やはりこの著者の作品とは相性が悪い。Amazonレビューはもとより諸々の感想サイト見ても概ね好評っぽいんだけど、僕はイマイチに感じた。

メタルギア ソリッド サブスタンスI シャドー・モセス (角川文庫)

メタルギア ソリッド サブスタンスI シャドー・モセス (角川文庫)


 本作はメタルギアソリッドシリーズの初作であるPSの『メタルギアソリッド』のノベライズである。

 実は『メタルギアソリッド』の小説自体はかなり昔に海外の著者によるものが出版されているのだが、こちらはキャラクター性が原作であるゲームと異なっていたり独自解釈が多かったりと、世間的にも評価は芳しくなかった。

メタルギア ソリッド (角川文庫)

メタルギア ソリッド (角川文庫)

メタルギア ソリッド2   サンズ オブ リバティ   (角川文庫)

メタルギア ソリッド2   サンズ オブ リバティ   (角川文庫)

  • 作者: レイモンド・ベンソン,富永 和子
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/02/25
  • メディア: 文庫
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 そういった経緯もあってか、本作の台詞や物語の流れなんかはゲームをかなり忠実になぞったものとなっている。・・・なっているのだが、それがどうにも小説というフォーマットには合致しないように思えてしまった。それぞれのボスは長々とした描写の割にはすぐに倒されてしまうし、探索もあっさり答えにたどり着いてしまう。

 ゲームは試行錯誤を繰り返し、作中の人物の苦難を体験することが物語への没入感につながる。そのあたりを差っ引いてしまっているもんだから、ボスが一旦撤退したりといったゲーム都合の演出がどうにも納得感が薄く、ご都合主義の連続に見えてしまった。

 「忠実に描写しよう」という思いが強すぎるのか、なぜか敵地で都合よくスニーキングスーツが落ちていたり危機的な状況なのにいちいち着替えたりと、ここまでくるともはやシュールに感じてしまう。気取り過ぎて鼻に着く文体と相まって、どうにも不格好な作品という印象だ。


 また、本作では「ニューヨークの若者が真偽不明の都市伝説の怪文書としてシャドーモセスの事件のレポートを読む」という体裁になっているのだが、「レポート」であるのならスネークの内心を描写せずにあくまで監視者の視点で描くべきだったと思うし、少なくともこの一冊の中ではそれが展開として特に有効に活用されている感じもない。

 このあたりの評価は連作となっている次の巻を読了するまで差し控えたいとは思うが・・・

メタルギア ソリッド サブスタンスII マンハッタン (角川文庫)

メタルギア ソリッド サブスタンスII マンハッタン (角川文庫)