そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

『ファースト・マン』感想

 ここ3ヶ月ほど忙しくて映画館から足が遠のいていたんで今回は気合を入れて4DX2Dで観てきた。

firstman.jp

 冷戦期、アメリカとソ連の宇宙開発競争は熾烈を極めていた。スプートニクにボストークとソ連の後塵を拝していたアメリカは、逆転の一手として月面着陸を目標と定める。 テストパイロットを務めていたニール・アームストロングは、娘を失ったことを期に月面着陸のための技術開発を目的としたジェミニ計画に志願するのだった。


 狭い機体、暴力的な振動、悲鳴のような軋み音。幻想的で美しい外の光景とは裏腹に、あらゆるミスが致命的な結果へと繋がる厳しい高高度の世界。 序盤からいきなりのX-15の飛行シーンの迫力には4DXのガクガク揺れる座席も手伝って度肝を抜かれた。

 宇宙飛行士とは国家の威信を担うスターであると同時に死と隣り合わせの過酷な職業でもある。手探り状態の宇宙開発の黎明期、身を委ねるロケットは工業的力技の産物。 ベルトのバックルにゴミが挟まっていたり鏡の位置が安定しなかったり、そういう描写がいちいち不安を煽られる。 そして実際に仲の良かった同僚は次々に命を落とし、自身も幾度となく事故に遭遇する。

 遠く離れた日本からするとどうしても華々しい業績の面ばかり印象にあったりするが、その裏では世間からは税金の無駄遣いとバッシングを受け、政治的に早急な成果を求める圧力があり、家族の不安があり・・・ それを狂気にも似た執念で突き進んでいく姿にはある種の恐ろしさすら感じた。 科学への貢献、国家の威信、国民的な栄誉・・・建前はいくらでもあるけれど、結局はエゴなのだ。


 そんなわけで本作は人類史に残る偉業を、しかしその華々しさの影に隠れた部分を描いた作品だった。 だがそこはラ・ラ・ランドの監督というべきか、いわゆるドキュメンタリー的なものとも違って全編に渡って詩的な雰囲気が漂っているのが面白い。

 また、その一方で先に述べた序盤のテスト飛行から始まり事故やら打ち上げやらとかく「体験的」な作品でもあって、4DXとして観る価値のある作品でもあったなと思う。