Rushboxで使えるKailh Choc V2規格のキースイッチで、新たにゲームコントローラ向きなSaker miniキースイッチが出ていたので換装してみた。
(ちなみに記事書くためにカタログ調べるまでずっと「Shaker mini」だと誤読してた・・・)
先に述べてしまうとスペック的には以前に換装したshadow huntingスイッチとは誤差程度でしかない。
なので正直いえば自分も存在を知りつつもスルーしていたのだけど、他に買うものがあったのでついでに交換してみた。

今回はあまり言うこともないので折角なのでこれまでRushboxで使ってみたキースイッチをまとめてみた。
| キースイッチ | 作動点 | 総トラベル | 押下圧 |
|---|---|---|---|
Lofree Ghost |
1.2±0.3mm | 2.8±0.25mm | 50±10gf |
Wind Engine![]() |
1.2±0.3mm | 2.8±0.25mm | 40±10gf |
Shadow Hunting ![]() |
0.8±0.3mm | 2.0±0.25mm | 40±10gf |
Saker mini |
0.8±0.3mm | 1.8±0.3mm | 37±10gf |
ゲーミングキーボードとレバーレスコントローラでは、「入力への反応性を高めたい」という入口部分の価値観は共通するものの、突き詰めた先で求められる性能は違ってくるなと実感している。
押下圧について
RushboxでもデフォルトでついているLofree Ghostの50gfという数値はキーボードとしてはごく一般的なラインの押下圧ではあるが、レバーレスでは押す頻度や押し方の違いなんかもあってか、長時間プレイしていると明確に手の筋肉に疲れを感じる。
一方で軽ければ軽いほど良いかというとそうでもなくて、SnackboxでChoc V1のピンク軸=20gfという極小の押下圧のスイッチを試した際には、指の重さに対する押し返しが少なくて意図せず入力状態になってしまったり、むしろ離す動作で反発力が弱くて疲れを感じる印象があった。
なのでリニアなキースイッチに関していえば30~40gfあたりが丁度よい塩梅な印象を持っている。
総トラベルについて
これは先に「基準」となる三和のボタンが2.5mmぐらいであることを念頭に捉えると良さそう。
キーボードだと3mm以上のしっかりした押し込み感があった方がタイピングはしやすいのだが、これをそのままゲームのボタンとして使うと指が疲れる感じがある。
一方でこれがPunkworkshopの旧v1ボタンのような1mm以下まで行くと使うのには慣れ要するし、底打ち感の強さで指に負担があるので人によって好みが別れるラインに入ってくる。
最大公約数的に気持ちよく押せるのは2mm前後あたりの数値感なんじゃないかなと思う。
作動点について
押下して実際に入力信号が発されるまでの長さであり、反応速度の話だけでいえば短ければ短いほど反応が早いといえるが、一方であまりに短すぎると誤入力が増えるし、総トラベル-作動点=あそびの距離は長すぎれは歩きガードなどのキャラ操作に、短すぎればコマンド入力に差支えが出る。
たとえば波動拳コマンド↓↘→における↘なんかは↓ボタンと→ボタンの同時入力によるものだが、コマンド入力時に同時に押すことを意識してるかというとそんなことはない。 ↓と→のボタンをカカッと流れるように入力したとき、あそびの入力があることによって同時押し成分があることによって、プレイヤー的には意識せずとも波動拳コマンドが成立してくれるのだ。 このあそびが短すぎると↘入力になってくれる猶予が短すぎるので、コマンドの抜けとして現れてくる。
過去に色々試した感じでは、あそびが0.5mm以下とかになってくるとそれと分かるレベルでコマンド抜けが発生するという印象があったので、PWS v1の0.8mmあたりが現実的に運用できるラインな気がする。
レバーレスに丁度よいスペックは?
そんなわけで、リニアなキースイッチに関しては
- 押下圧30~40gf
- 総ストロークは反応性重視なら1mm(旧PWS Switch v1相当)、万人受け・コマンド入力の気持ちよさ重視なら2mm前後(旧PWS Switch v2相当)
- 作動点というよりは入力から底打ちまでの遊びの距離の方が重要で、最低でも0.2mm程度はないとコマンド入力に差し支える
あたりが独断と偏見に基づくスイートスポットなのかなと思っている。
そこからいくと、今回のSaker miniは万人受けする範囲の中でスペックを突き詰めてる感じの調整に見えた。
(確認のためにPWSのショップ見てて気づいたんだけど、最新のPWS Switch v1って作動点は短くなったけど総ストロークは伸ばしてマイルドな押し味に調整したんですな。SF6流行で格ゲーの間口が広がり売上が伸びていく中で、旧v1のカリカリの押し味は受け入れられなかったのかなーと推測)
マイクロスイッチに関しては性質が異なるのでまたちょっと理屈が変わってくる気がするが、まだ自分の中で理論立てられるほど知見ない。
総論
そんなわけで長々と書いたけど、今回のSaker miniも前回のShadow Hunting同様に「無改造でちょうど良い塩梅」の使い勝手の良いものになっていた。
Rushboxの場合には関係ないけど、Saker miniはケースが透明なのでボタンにLEDが仕込まれているタイプのコントローラなら黒透明のShadow Huntingよりも綺麗で良いかもしれない。


正直なことを言えばShadow Huntingからの換装では体感として実感できるほどの変化はなくて、あえて買い替えるほどの差は無いんだけど、カタログスペック的には間違いなく良い方向に調整されているし、これからChoc v2でレバーレス向きなスイッチを探しますって人には文句なく一番オススメできるスイッチだとは思う。
おまけ:Rushboxの端子
Rushboxの固有の問題ってわけじゃないんだけど、Type-Cの端子が剥き出しで浮いている(周辺をボディで覆ってない)構造なせいなのか、ケーブルなんかのの圧によって端子の口の金属が変形してきて、最近はちょいちょい接続が切れるようになってきちゃったんですな。
小さいマイナスドライバーを筐体との隙間に差し込んで口を狭める形で補修してとりあえずは問題なく使える状態に直せたけど、長期運用を考えると端子の上下の筐体との隙間にクッションシートか何かを詰めて変形を防ぐような手立てを考えたほうが良いかもしれない・・・




