そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

『夢』感想

夢

 「夢オチ」といえば荒唐無稽な展開も無理矢理に納めてしまう、作り手にとってある種の禁じ手の典型として挙げられるものだが、本作ではあえて初めから「こんな夢を見た」と銘打ち、巨匠・黒澤明監督の想像力を起承転結も整合性もなく表現力の赴くまま映像化した作品である。

 狐の嫁入りを描いた「日照り雨」や復員した将校が長いトンネルでかつての部下に会う「トンネル」など8編からなる。個人的に印象に残っているのが原発事故を描いた「赤富士」である。物心つく前にこの場面だけ観た記憶が残っていて、たまたま今回観てこの映画がそれだったと気付いたのだった。

 で、CG全盛じゃない時代にこれだけ鮮烈な映像はすごいなーとかそういう通り一遍の感想は抱くんだけど、それと同時に感じるのが原発に対する厳密性に欠いた忌避感とか偏屈な科学批判なんかはなんというかこう、陳腐な、とすら言ってしまえる位にステレオタイプなエコロハス思想なこと。

 そんでもって、こういうの観ると、昔から皆「絶対安全」なんてのは方便に過ぎないことをちゃんと認識してたんだなーっ気付くわけで(というか僕も小学生の見学の時分から思ってたし)、その上でのリスクとリターンの評価は人によるけれど、少なくとも311以後のあっち系の人たちの「騙されていたんだ!」という言い方には欺瞞がある(か、当人がよっぽど純朴だったか)よなーと感じてしまう。