『フリクリ プログレ』観てきた!
前回の『〜オルタナ』は「フリクリ」という題材を用いながら日常と非日常の反転を描いた災害映画のような作りだったんだけど、対して本作は真っ向から「フリクリの続編」を志向したものに見えた。
より純粋な欲望の権化となったラハルは青少年たちをたぶらかし、心に闇を抱えたヘッドホン少女は退廃的な夢を見て、やっぱりメディカルメカニカは不吉な蒸気を吐き出す。『オルタナ』が妙に健全な青春群像劇だったのの反動のように破滅的で、ノリから画面から音まで過剰なまでに『フリクリ』であることを主張してくる。
もちろん前作から変わった部分もある。今度の少年少女は密か想いを寄せあうもんだからつけ入るすきが無く、なによりハル子から分裂した片割れ・ジンユが邪魔をする。何かとラハルの思惑通りには物事は運ばない。
でまあ、映像的には結構面白いとは思ったんだけど・・・どーにもどのキャラクターにも思い入れを持てなかったのが辛いところ。作品の視点的には井出交を感情移入先として観ていかざるを得ないとは思うんだけど、こやつがあまりにも真っ直ぐ青少年過ぎてキャラクターとしてひどく薄く感じてしまう。
「元のヒドミ」が好きな交と「変質したヒドミ」を好きなマルコとの対立とかそういう方向性の展開でもあれば面白かったとは思うんだが。
前作でのハル子は理屈ばった大人でも衝動だけの子供でもない謎めいた女としての魅力があったんだけど、人格の分離によってそのあたりのミステリアスさが剥がれ落ちてしまったように感じてしまった。
フワッとした言い方になるんだけど、これといってエモさを感じられる部分が無かったんだよな・・・
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