そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

『フリクリ オルタナ』感想

フリクリ続編が上映ということで観てきました!

flcl-anime.com

世間では厳し目の評論が多くてなんだかなーという感じではあるんだけど、こういうのは自分なりに咀嚼するのが大事ということで。


前作『FLCL』は奇抜な映像演出やトリッキーな話運びをしつつも、その裏で展開されるエヴァを更に押し進めたような緻密な心情描写が魅力で、優れた兄へのコンプレックス・マミ美への負い目と恋慕の入り混じった複雑な感情・そしてそんな鬱屈した日常から連れ出してくれるハル子に危なさを感じつつも惹かれてしまう感じなど、とにかくある種の元・少年には引っかかりどころありまくりな作品なわけである。

FLCL Blu-ray BOX

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で、前作は冷めた少年ナオ太が主人公だったものが、今回は近年の流行を反映して女子高生4人組からの視点になっている。元気だけが取り柄なカナに不思議ちゃんなペッツ、美人のヒジリーと食い意地の張ったモッさん。

日がな一日くだらないことをダベり、ありきたりな恋愛と進路に悩み・・・そんな「日常」がいつまでも続いていくように思えたのだが、その裏で着々と「非日常」は侵攻していた。

どこからともなく飛来するピン、いつの間にか建造されていた巨大なアイロン、立て続けに人工島から発射されるロケット、大人たちの不穏なニュース。子供の日常は大人の都合の前にあっけなく崩れ去り、否応なく非日常に引きずり込まれていく。

そして来るべき災厄は、前作では特撮映画的な爽快感ある描写だったのに対して今作は3.11を経た故なのかどこか生々しく映る。がらんどうの街、空きの方が多い教室、うねるアスファルト。考えてみればMM自体が元々人智の及ばぬ存在ではあったけれど、より災害的な意味付けになっているように見えた。


前作の怒涛の導入やら「ナオ太とハル子」の関係性やらその他諸々と比較してしまうと、どうしても本作は上手くないと感じてしまう部分は多い。導入はまどろっこしいし彼女たちの青春の悩みはありがちだし、何よりハル子の存在意義が薄すぎる。

前作があまりにも強いインパクトがあって、斬新な映像表現だったりオシャレ感だったりファム・ファタール幻想だったりと各人に各人なりの「FLCLとはこうである」という想いが強くあるに違いなく、そこからすると本作はどこにも振り切れてないと断じられてしまうのは分かる。「同じ感動」を期待しているとガッカリしてしまうのは否めない。

でも、ピンが飛んできたり政府が怪しい動きしてたりで明らかに日常が脅かされてるのにノホホンとしている感じなんかは「ああ、なんか日本だな」って感じがするし、ペッシの色々にはそれなりにエモいものを感じる。女子高生グループの凡庸な青春がじんわり侵食され破壊される様に、どこか感じ入るものがあったのも事実なのだ。全く面白くないかというとそんなことはないっしょと僕は思う。

いずれにしろ次の『プログレ』の収め方に期待。