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そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

『UNDERGROUND MARKET アービトレーター』感想

小説 藤井太洋

他にも読んでる本はあったのだが、読み進める心地良さみたいなものもあり、こっちを先に読み終わってしまった。


本作はKindle連載の形で配信された、シリーズ1作目の増強版。

とはいえ「増強版」という言葉から連想されるような単純な要素の付け足しではなく、骨格は共通しながらも話の筋はかなり手が加えられ物語として違ったものになっているので、両方読んでも退屈はしないだろう。


このシリーズについてガジェットの面白さやリアリティある世界観は勿論だが、何よりキャラクターの造形に特に惹かれる。

非常に「エンジニアらしさ」があるのだ。

森谷恵の「汚いコード」に対する憎悪や、木谷巧の「ゼロ円ケータイ的な商売」を技術や仕事を軽んじ貶めるものとして嫌悪する感覚には共感を覚える。

エンジニアという理屈で生きる人種にとって、ITであれそれ以外であれ、美しい「システム」を歪めるような物事にはある種の冒涜であるとすら感じられるのだ。


物語作りという面について考えても無印版のアイディアをここまで拡張できるのかという部分にも驚かされる。

『ヒステリアン・ケース』の内容・キャラクターを活かし、あくまで個人的な問題に終始していた無印版のスケールを拡張している。

(あと劇中に登場する実在のUnixコマンドには「へー」って思った)


ただ、一点だけ残念だったのが、最後の一アクションとそれに関わる「組織」まわり。

全体に地に足がついた話として展開しているのに、そこはリアリティラインを逸脱してしまっているように感じられてしまった。

だが、全体的には非常に満足感の高いシリーズだった。