そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

ガンダム THE ORIGIN 9巻 感想、主義・歴史・神格化

TVシリーズでは描かれなかった独立戦争以前、シャアやセイラが幼少の頃の物語。

それだけでもガンダムファンとしては興味を惹かれるところではあるが、個人的に特にグッと来たのが彼らの(そしてジオン公国の)父であるジオン・ズム・ダイクンの描かれ方。

続きを読む

THE ORIGIN 6巻で再発見した「僕がいちばん上手くガンダムを使えるんだ」

ガンダム関連商品のCMやら何やらで勇ましい場面と共に使われがちなこのセリフ。

本編を経ずにそういった物ばかりを目にしていたので、後の「エースパイロット アムロ・レイ」像とも相まって何だかヒロイックなニュアンスでとらえていたけれど、実際は結構悲しいシーンだったんだなと再発見した。

エヴァが流行した当時、年上の人が「ガンダムと同じ」というようなことを言っていた意味がようやく掴めた気がする。


物語の当初は状況に流され仕方なくガンダムに乗っていたアムロ

しかし、帰る家を失い、再会した母には理解されず、そして唯一自分の価値が認められる場だと思っていたガンダムのパイロットの座も危うくなる。

ガンダムを駆ってホワイトベースから逃亡し、ジオン軍ランバ・ラルと遭遇した後、ホワイトベースへ連れ戻され懲罰房に入れられてのこのセリフである。


人畜無害な機械オタクだったアムロが、いつの間にか戦場にしか居場所を見いだせなくなっている悲しい場面なのだ。

徹頭徹尾「戦場の男」であるランバ・ラルとの邂逅の後であるのも興味深い。

これを踏まえた上で最後が「僕にはまだ帰れる場所がある…こんなにうれしいことは無い…」であることを考えると、なるほどガンダムエヴァ同様に「居場所」を見つける物語だったんだなって思えてきた。


「大義」とか「復讐」とか、そういったマチズモなロマンからからの脱却。

そういった意味で考えると、『機動戦士Zガンダム』でアムロを戦場へと引き戻してしまったカツ・コバヤシは相当に罪深い。

あと、『0083』なんかはそれこそマチズモ臭がキツすぎて僕は嫌いで、その分逆に『ポケットの中の戦争』なんかは結構好きだったりするのだけれど、それでもやはりバーニィの決断に肯定的であるべきではないんだなぁて気がしてくる。

『新世紀エヴァンゲリオン』14巻感想

Wikipediaによれば1994年に"アニメに先行して発表"とのことだからなんと20年あまり。

意識の高いアニメオタク位しか楽しめなかった旧劇場版、新規参入狙いかと思えばちゃぶ台返しな新劇場版、そしてタイトル人気を笠に着たしょうもないゲームや外伝の駄作の山々を超え、遂にエヴァの物語の本道を行く漫画版が完結。

エヴァで「アニメに出会った」世代にとって「エヴァンゲリオン」という作品はいつまでたってもスッキリとはしてくれない喉に刺さった小骨のような存在だったのだが、その一つが綺麗な形で完結されたことに個人的には結構な喜びを感じる。


漫画版は基本的にはTV版の流れを踏襲しつつも、キャラの情動や周辺の動きがより分かりやすいような形に直されて展開されてきた。

前巻の13巻からは旧劇場版の内容を取り込みはじめ、14巻ではサードインパクトの結実と"その後"が描かれる。


そんなわけで最終巻、旧劇場版に比べて分かりやすい形に直されているというのは先にも述べたが、サードインパクトの経過は映像とはやや異なった形となっている。

以下若干のネタバレあります。

続きを読む

ベルセルクの黄金時代篇が好きな人向けのマンガ

KADOKAWA祭りっちゅうことで前々から気になってたタイトルを色々と買いあさっている今日この頃。


『ベルセルク』は改めて説明するまでもなく有名な中世ファンタジーだが、個人的には魔法や使徒などの登場しない黄金時代篇が好きだったりする。

中世の階級と狂信とが支配する理不尽な社会、禍々しい甲冑と不条理な戦場、そしてその中で力と知略謀略で成り上がろうとする傭兵団。

「蝕」以降の緻密な描写による魔法やクリーチャーデザインも魅力なのは間違いないが、一方でファンタジー要素のない物語をもっと読んでみたいという気持ちも少なからずあった。


そんなわけで折角の安売りの機会なので中世ものを買いあさってみた。

『ホークウッド』

正にベルセルク黄金時代篇のような傭兵団もの。

ホークウッド<ホークウッド> (コミックフラッパー)

ホークウッド<ホークウッド> (コミックフラッパー)

一騎当千的な描写は控えられており、重装騎兵と正面から打ちあえば負けるし、どうしようもなく不利な時には逃走する。

戦場の描写もさることながら、いかに傭兵団を「経営」するかが丁寧に描かれているのが面白い。

『ダンス・マカブル』

狂信と拷問をテーマとした一話完結の短篇集。

ダンス・マカブル 1 ?西洋暗黒小史?<ダンス・マカブル> (コミックフラッパー)

ダンス・マカブル 1 ?西洋暗黒小史?<ダンス・マカブル> (コミックフラッパー)

ジャンヌ・ダルク、カリグラ、キリスト、ジル・ド・レイなどなどが、それはもう結構なグロ描写で鮮やかに描かれる。

『狼の口 ヴォルフスムント』

狼の口 ヴォルフスムント 1巻<狼の口 ヴォルフスムント> (ビームコミックス(ハルタ))

狼の口 ヴォルフスムント 1巻<狼の口 ヴォルフスムント> (ビームコミックス(ハルタ))

その厳しさ故に「狼の口(ヴォルフスムント)」と呼ばれる関所を舞台とした、ハプテスブルグ家の支配体制への反抗の物語。

多少漫画的な描写が鼻に付く部分はあるが、しかしその上でお決まりを裏切っていく展開に驚かされる。


正直なところをいうとTL上でやたら評判の良かった『乙女戦争』を購入したときに、うっかり押し間違えて『ホークウッド』を買ってしまい、「どうせなら」という気分でおすすめを順に買い集めていった流れなのだけれど良い収穫だった。

あまり大売れすることもなければアニメ化されることも少ない地味なジャンルではあるが、史実をググって舞台背景を押さえながら読み進めるとなかなかに面白い。

最近読んだ本とか

最近読み終わった『気分はもう戦争』、『越天の空 』上巻、『Self-Reference ENGINE』の感想とか、今見てるロボアニメ『M3』『アルジェヴォルン』『アルドノア・ゼロ』についてとか。

気分はもう戦争

気分はもう戦争 (アクション・コミックス)

気分はもう戦争 (アクション・コミックス)

中ソ戦争が勃発した架空の198X年が。

日常からの逃避、思想的理由、職業。

様々な理由から「戦争」に心を惹かれる人たち。

そして暗躍する米国。


恐らく意図的に排除したのであろうが、「反戦」でもなければ「お国のため、正義のため、平和のため」でもない、ただただ「大きな意思」と「小さな意思」が動き回って戦争という事象を構成するという淡々とした描き方は新鮮で面白かった。

生まれる前の作品ということもあって単語レベルで分からないネタが結構沢山有り、時々Wikipediaを引きながらという感じだったが、このへんの近現代史って学校教育じゃ全然習わなかったということにある種の危機感を感じた。

『越天の空』上巻

越天の空 (上)

越天の空 (上)

国土を奪われ、空中空母「八洲」を仮の都とする日宇皇国。

超人的な技量を誇る操縦士 飛天、底知れぬ姫 焔宮、そして各国の思惑。

焔宮はこの国をどこへ導こうというのか。そして、飛天は・・・


第一次世界大戦時のような航空機が舞う世界を舞台とした架空戦記

上巻ということで一通りのキャラと国、歴史の紹介がなされ、また各国の思惑が朧げながら見えてきた所で下巻へ続く。


ラノベ的なあざとさが幾分鼻につく所もあるが、各国有力者のキャラ造形の丁寧さには感心させられる。

各国を巻き込みウルティアとの全面戦争へともつれ込むのか、というところで上巻は終わるのだが、しかしそうストレートには進まなそうな所が面白い。

次巻は9月発売予定とのことなので楽しみ。

Self-Reference ENGINE

Self-Reference ENGINE (ハヤカワ文庫JA)

Self-Reference ENGINE (ハヤカワ文庫JA)

円城塔氏のデビュー作。

時空の壊れた世界を舞台とした短篇集。


我々の思考は当たり前だが時空の流れに囚われている。

原因があり、作用があって、結果ができる。

しかし、その前提が壊れたとしたら?

いわば自己参照プログラムのようなこの物語構造は、人間の想像力への挑戦といえるかもしれない。


正直なところ文章的に読み難い部分もあり、また理解力が追いつかない部分もあって素直に「面白い」と感じられたわけではないが、この世界の原則を突き崩していく想像力の逞しさにはひたすら興味をそそられる。

雰囲気としては『言壺』や『アンブロークンアロー』に近いものがあるかもしれない。

『言壺』感想 - そんな今日この頃でして、、、

2013年に読んだSF小説 - そんな今日この頃でして、、、

また、言葉の力と物語の作用、無限の意味を含むカオスなど、『屍者の帝国』に繋がるモチーフを見出すことができる。

『屍者の帝国』読んだよー - そんな今日この頃でして、、、

『M3 〜ソノ黒き鋼〜』

M3~ソノ黒キ鋼~ Blu-ray BOX 1

M3~ソノ黒キ鋼~ Blu-ray BOX 1

今のところ12話まで消化。

エヴァラーゼフォンファフナーみたいな感じ。

アクション描写弱いとかキャラの行動原理がピーキー過ぎるとかで世間的にあまり人気出ないのは分かるが、謎が徐々に明らかになってく世界の秘密や容赦無い展開は個人的にはかなり琴線を揺さぶられる。


追記:16話までみた

ツグミ+ササメ+ミナシのバックグラウンドが分かってより面白くなってきた!

セカイ系ロボ+伝奇ホラーというかなり狙いすました作りで、90〜00年代のアニメが好きなおっさんホイホイなんだなーと個人的に納得。

なるほど受け付ける層が偏るわなー。


前半のED気になるなと思ったらヴォーカルは『東のエデン』とか『C』とかの解散したSchool food Panishmentの人なのね。

取り敢えず買った。

TVアニメーション「M3~ソノ?キ鋼~」EDテーマ ego-izm

TVアニメーション「M3~ソノ?キ鋼~」EDテーマ ego-izm

ノイタミナ感はんぱないけど、フルで聴くとちょっと変化あって興味深い。

『白銀の意思 アルジェヴォルン』

白銀の意思アルジェヴォルン 第1巻 (初回生産限定版) [Blu-ray]

白銀の意思アルジェヴォルン 第1巻 (初回生産限定版) [Blu-ray]

7話まで。

雑魚機のデザインは割と好きなんだけど・・・

戦場描写がヌルすぎて全然緊迫感が伝わってこないし、やたらキャイキャイしてるキャラクターにも共感できない。

アクションも今のところ「圧倒的な運動性能をもつ主人公機が敵の雑魚機の銃弾を跳ね返しつつ殴る蹴る」という感じで然程面白くもない。

こっから果たして面白くなったりするんだろうか。

『アルドノア・ゼロ』

こちらも7話まで。

特殊能力を持つ敵ロボを相手に、量産機(しかも練習機)に乗った主人公機が戦略で対抗するロボット異能バトル。

いや色々ツッコミどころがあるのは間違いないんだけど、ロボットプロレス作品としては十分面白い。

ただ、主人公格キャラ以外がひたすら無能でしかない(特にマリト大尉は加持さん的ポジションなはずなのにヘタレにしか見えない・・・)のと、どう考えても一番最初の敵が一番強そうに見えてしまう感じが気にかかる。


もう一人の主人公であるスレイン君が動き出したので、ストーリー的には今後大きく動きそうで楽しみだが、異能バトルとしての面白味が段々下がってきてる感じがするので、今後もっと突飛で「どうやって倒せばいいんだ・・・」な(それこそ瞬間移動とか時を止めるとか)機体が出てくるのを期待したい。

御無体漫画『幻想ギネコクラシー 1』読んだよー

ここのところ関わる仕事で大きめの構造的欠陥を見つけることが多い今日この頃。

潜在的な問題を見つけるのは悪いことではないし、上司にもそれなりに感謝されるけど、一方で具体的な「犯人」を作ってしまう場合もあるわけで、何とも切ないところ。



さて、久々に漫画の話題。

今回読んだのは沙村広明氏の新刊(というには積みすぎた気がする)『幻想ギネコクラシー』。

幻想ギネコクラシー 1

幻想ギネコクラシー 1

氏は数少ない僕が「作家買い」する漫画作家さんだったりする。

(ちなみに他には遠藤浩輝氏のも作家買いしてる)


代表作『無限の住人』のような殺伐としたアクションから竹易てあし名義での『おひっこし』のようなコメディー、そして何と言っても『ブラッドハーレーの馬車』のような嗜虐的なエロまで手広くカバーしている作家ではあるのだけど、それらの中にも何となく「退廃的な美しさ」が一貫して感じられるから不思議。

竹易てあし漫画全集 おひっこし (アフタヌーンKC)

竹易てあし漫画全集 おひっこし (アフタヌーンKC)

パロディ満載のコメディ作品ですら、そこはかとなく物語としての収まりの良さを感じるんよね。


本作はその中ではコメディとエロのちょうど中間を行った短篇集といえるかもしれない。

雰囲気は前の短編の『シスタージェネレーター』に近いのだけれど、全てにおいて何かしらの形で若干のエロ要素が関わっている。

シスタージェネレーター 沙村広明短編集 (アフタヌーンKC)

シスタージェネレーター 沙村広明短編集 (アフタヌーンKC)

エロ漫画みたいなのではないけど、職場で開くのはちょっと憚られる系。

とある童話をパロった『筒井筒』や「目を覚ますと棺桶の中、助けを求めたら級友が掘り出してくれたけど・・・」な『殺し屋リジィの追憶』などなど。

別に読んだって感動する類の「良い話」ではないし、SF的ギミックに好奇心をそそられるものでもない。

何か前提とする教養が必要でもないし、読んだ後に何が残るでもない。

でも、その一話一話の収まりの良さに、何かエンタメとしての美意識のようなものを感じるのだ。


さて、本作を読んで先に述べた「退廃的な美しさ」や「物語としての収まりの良さ」みたいなことを考えていると、僕は学生の頃に受けた坂口安吾の『ふるさと』をテーマにした授業を連想した。

坂口安吾 文学のふるさと

曰く、童話『赤頭巾』の元々の結末には猟師がやって来て狼の腹から生還する展開はなく、ただただ可哀相な老婆と少女が狼に食べられて終わりという、因果応報も勧善懲悪も無い物語だったそうだ。

でも、そういう「むなしさ」「やりきれなさ」の中にこそ文学の根源があり、そういった現実に立脚してこそ物語は力を持って云々・・・

まぁ小難しい話はともかく、意図的に教訓もモラルが排除された、ある種の美意識のようなものを感じるのだ。


そんなわけで、万人には勧めづらいし、かと言ってどんな人になら刺さるかはとんと分からないけれど、個人的には結構面白かったですよ『幻想ギネコクラシー 1』。

続刊が楽しみ。


あと『ベアゲルター』2巻はいつ出るのかねー。

ベアゲルター(1) (シリウスコミックス)

ベアゲルター(1) (シリウスコミックス)

「ベアゲルター」読んだよー

ベアゲルター(1) (シリウスKC)

ベアゲルター(1) (シリウスKC)


無限の住人」でお馴染みの沙村広明氏の作品。


氏の作品の魅力といえば
・独特のデッサンぽい画風
・派手なアクション
・ジェットコースターのような展開
・ゲス野郎
・たくましい女性
・シニカルなギャグ
・サディスティックなエロ
であるが、本作はそういった要素が全て詰め込まれている!




場面は中国の売春宿でのある殺人から始まる。

・・・あらすじ説明しようと思ったけど、ストーリー展開早すぎて無理だったw



・ヤクザと製薬会社
・謎の島
・機械の腕
・女刺客
・復讐
こんな要素にピンと来たら是非。

キル・ビルみたいな不条理暴力アクションや、アウトレイジみたいな全員ゲス野郎な世界観が好きならハマると思う。


とかなんとか言いつつ、僕は氏の作品で一番好きなのは暴力もエロもない「おひっこし」だったりするけど。

竹易てあし漫画全集 おひっこし (アフタヌーンKC)

竹易てあし漫画全集 おひっこし (アフタヌーンKC)