そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

『新世紀エヴァンゲリオン』14巻感想

Wikipediaによれば1994年に"アニメに先行して発表"とのことだからなんと20年あまり。

意識の高いアニメオタク位しか楽しめなかった旧劇場版、新規参入狙いかと思えばちゃぶ台返しな新劇場版、そしてタイトル人気を笠に着たしょうもないゲームや外伝の駄作の山々を超え、遂にエヴァの物語の本道を行く漫画版が完結。

エヴァで「アニメに出会った」世代にとって「エヴァンゲリオン」という作品はいつまでたってもスッキリとはしてくれない喉に刺さった小骨のような存在だったのだが、その一つが綺麗な形で完結されたことに個人的には結構な喜びを感じる。


漫画版は基本的にはTV版の流れを踏襲しつつも、キャラの情動や周辺の動きがより分かりやすいような形に直されて展開されてきた。

前巻の13巻からは旧劇場版の内容を取り込みはじめ、14巻ではサードインパクトの結実と"その後"が描かれる。


そんなわけで最終巻、旧劇場版に比べて分かりやすい形に直されているというのは先にも述べたが、サードインパクトの経過は映像とはやや異なった形となっている。

以下若干のネタバレあります。











ゲンドウはただの「打ち倒されるエゴイスティックな父親」なだけではなくいくらか救いがある形になっている。

僕がまだ子供で理解力が追いつかなかった頃はゲンドウというキャラクターはひたすらに自分勝手で悪辣なキャラのように思っていたが、歳を取るにつれて「何物を犠牲にしてでもヒロインを救おうとする」実に少年漫画的なキャラなのだと理解できるようになってきた。

そんなわけで、旧劇場版の無碍な終わり方には同情にも似た気持ちすらあったのだが、今回そのあたりに救いのある演出が入ったので個人的にちょっと嬉しく思ったり。


大きく変わったのがアスカ。

サードインパクト時に唯一融合を拒否する台詞だったり、物議をかもした「気持ち悪い・・・」だったりで、結局のところエヴァンゲリオンの物語の本質の一つは「アスカへの片思い」「伝わらなさ」「愛されなさ」だといえると思う。

(だからよく「ツンデレ」の典型キャラみたいに扱われることが多いけど、全然違うと思うんだよね)

漫画版ではそのあたりが別の形として描かれ、そして結末がレイに寄った形になっている。

でも話の本質が変化してしまったかというとそんなことはなくて、そのあたりの要素も含まれた形になっている。


そんなわけで旧作を補完するような形で進んだ本作だけれども、物語の結末や番外編では新劇場版への繋がりも示唆する形になっている。

これだけこんがらがった物語をちゃんと読み取れる形で、しかも他の展開もカバーする形で終わらせてくれたことに、ファンとしてはある種の感動すら覚える。


あとは新劇場版がどうなってゆくことか・・・