先日公開されたハリウッド版の実写映画に合わせて企画された小説短編集を早速読んでみた。
- 作者: 円城塔,三雲岳斗,朝霧カフカ,秋田禎信,冲方丁,士郎正宗
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/03/28
- メディア: 単行本
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映画の方の感想はというと・・・個人的にはあまり満足感の高いものではなかった。 映像の再現という意味では悪くは無かったものの、僕が攻殻機動隊というシリーズにみていた面白みの多くが欠落してしまったように感じられたのだ。
だが、本作はまさにそんな抜け落ちた要素を過去作品と絡めながら上手くくみ取ってくれたように思う。
円城塔「Shadow.net」
事故による相貌失認障害を活かして、公安に「監視装置のシステム」として雇用された男。だが、いつしかその視界は本来の役目であったドローンのカメラの範囲を超えるようになった。それと共に己の存在に対しても疑念を抱くようになり・・・
三雲岳斗「金目銀目 Heterochomia」
かつて少佐に救われた女性SP。その強さに憧れ、美しさに魅了され、いつしか彼女は模倣者となっていった。
朝霧カフカ「攻殻機動隊 Soft and White」
男は雇われてとある島を訪れる。その島は全てものを電脳の認識の上に構築することで人が想像しうるありとあらゆることを実現するシステム「SOFT」により制御されたユートピアだった。
秋田禎信「自問自答」
気がつくと少佐は、ある公園にいた。だが、そこには何か違和感があった。記憶の中の公園が出現した理由とは・・・
冲方丁「スプリンガー Springer」
スポーツ用義体を生産する企業で起きた、社長の殺害と4体の特殊義体の盗難事件。だが、その盗まれた義体が盗難犯を殺害し始め・・・
S.A.C.一期二期やARISEの要素を活かしながら、映画において損なわれてしまっていた「身体と思考が不可分の存在ではなくった世界における人の在り方の変容」や「感覚も記憶も存在すらも不確かな中での自己認識」といったテーマを描いてくれた。
割と近い雰囲気の作品が多くてアンソロジーとしてはバリエーションに欠けるような印象もあるが、個人的には好きな方向性なので良かった。
- 作者: 円城塔,三雲岳斗,朝霧カフカ,秋田禎信,冲方丁,士郎正宗
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アンソロジーといえば今度発売されるBLAMEのも気になるところ。
BLAME! THE ANTHOLOGY (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 九岡望,小川一水,野崎まど,酉島伝法,飛浩隆,弐瓶勉
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2017/05/09
- メディア: 文庫
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映画も来月公開とのことなので是非とも観に行きたい。
- 作者: 弐瓶勉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/05/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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