前巻に引き続き、メタルギアソリッド2のノベライズ『メタルギア ソリッド サブスタンスⅡ マンハッタン』を読んでみた。
メタルギア ソリッド サブスタンス (2) マンハッタン (角川文庫)
- 作者: 野島一人
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2015/09/24
- メディア: 文庫
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原作ゲームでのメタルギア・ソリッド2はというと、主人公がいきなり雷電に交代したりストーリーの筋が複雑だったり前作の水準からするとテクノロジーレベルが飛躍しすぎていたりで、はっきり言ってシリーズの中では不人気なタイトルである。
メタルギアソリッド2 サブスタンス PlayStation 2 the Best
- 出版社/メーカー: コナミ
- 発売日: 2003/11/06
- メディア: Video Game
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ただ、黒幕であるところの「愛国者達」が姿を表しその恐るべき陰謀が明かされる、メタルギアを巡るの物語において欠かすことのできない重要な作品でもある。
シャドーモセス島事件から2年後、新型メタルギアの情報を掴みタンカーへと潜入したソリッド・スネークは、そこでメタルギアRAYとそれを奪取せんとするロシア兵の襲撃に遭遇する。リボルバー・オセロットの暗躍によりタンカーは沈没、メタルギアRAYは海へと消えたのだった。
情報統制により半ば都市伝説的存在として好事家の間でのみ語られていた英雄ソリッド・スネークは、一転してタンカー事件のテロ首謀者としてその存在を報じられるようになる。
そして更に2年後、タンカーの沈没を除染するために建築されたビッグシェルをサンズ・オブ・リバティと名乗る武装組織が占拠、大統領が人質に取られるという前代未聞の事態が発生し、その解決のためFOX HOUNDの新人隊員雷電の単身潜入任務が始まるのだった。
本作も前作同様に語り部はスネーク達とは縁もゆかりもないニューヨークの若者の視点という体裁を取る。スネークを信奉する者たちの一人として怪文書を読み解き、情報を集め、空白を想像力で埋めた物語を生産していく。
そうして生産された物語をゲーム内のパラレルワールドSNAKE TALESの存在とするなど、なるほどここに来て原作の補完として用いるのは面白い。
ただ、意味ありげに参照される911がさして使われるでもなく、前作同様にゲーム的ご都合主義を感じてしまう箇所が多々あり、前作同様に上手くないなと思ってしまった。終盤のAIのネタバラシっぷりも非常に興ざめである。
スネークに影響されてゆく雷電、そして愛国者達への反抗としてスネークの物語の語り部となってゆく主人公の姿は間違いなく著者の投影なのだろう。
MGSシリーズが凄く好きで筆が走っていることは伝わってくるんだけど、それが先走って全体に陶酔感が漂ってしまっているのも読んでいて辛かった。
「AIの統制への反抗として半ば架空のスネークの冒険譚を生産し続ける」という持って行き方も、どうにも昨今のフェイクニュースの風潮を彷彿とさせられて肯定的に捉えられないことも相まって、全体的になんだかなーという感想。
メタルギア ソリッド サブスタンス (2) マンハッタン (角川文庫)
- 作者: 野島一人
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
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