『猿の惑星: 聖戦記』がなかなか評判が良さそうなのでSF好きだとしてはチェックしたいところだったのだけど、その前に前作の『新世紀』を先に観ておかねばなるまいということで。上映当時は「類人猿の騎馬軍団」というビジュアルのB級感に敬遠してしまったのだが、これがなかなか良く出来ていた。
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このリブートシリーズの一作目『創世記』において、試薬により知能の向上した猿たちを引き連れて森へと逃れたシーザー。一方でその試薬はシーザーの育ての親であるウィルをはじめとした人類には毒となった。
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本作の冒頭ではその試薬が「猿インフルエンザ」として猛威を振るい、文明社会が崩壊した様が語られる。人間は数を大幅に減らし、政府はその機能を失った。わずかに生き延びた人々はかつての都市の残骸に拠点を築き、迫り来る破滅に必死に抗っていた。一方で知能を得た猿たちは森にシーザーを指導者とした集落で、人間との接触を避けて暮らしていた。
「植物に覆われた都市」というビジュアルはもはや手垢にまみれた終末の風景ではあるが、それでもこうも心惹かれるのは何故だろう。最近だとちょうどやっている『NieR:Automata』なんかもそうなんだけど、絶望的でありながらその場に行ってみたいとすら思わせられるから不思議だ。
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そして冒頭には「B級感」と表現したけれど、圧倒的なCG技術によって猿たちの表情が本当に豊かで、観ていると全く作り物という感じがしないから凄い。脚本の出来の良さもあって、宣伝ではあれだけ滑稽に思えていたライフル銃を携えた猿たちが全く違和感なく見えてしまうし、だんだんとシーザーたちに感情移入してしまった。
その出自もあって人類に対しても同情的だったシーザーに対し、腹心であるコバは人間への憎しみを捨てられなかった。やがてコバは「猿は猿を殺さない」という掟を破り群れを掌握して、人間の砦への襲撃を開始してしまう。それは新たな憎しみを生み、人類と猿たちの生存圏を賭けた全面戦争の引き金となってしまった。
憎しみは連鎖し、本来は争う必要の無かった者達を戦いに駆り立てる。そしてその流れが最新作『聖戦記』へと繋がっていく。
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