前作『新世紀』でシーザーの意思に反して始まってしまった人類と猿との全面的な戦争。あくまで積極的な衝突を避けていたシーザーではあったが、苛烈なまでの執念をもつ「大佐」に率いられた軍隊の奇襲によって妻子を失い、ついにコバのように憎しみに染まってしまう。新天地へ向かう群れと別れ、シーザーはわずかな仲間と共に復讐の道を行く。
何が凄いって、前二作はあくまで人間が物語の語り手であったのに対して本作では完全に猿からの視点で物語として成立しているのだ!前作にも増して猿たちは個性も表情も豊かになり、どの猿にもまるで人の役者に対してするように自然と愛着が涌き感情移入してしまう。
己の身ひとつでケリをつけようとするシーザーの背中には任侠者的な格好良さがあり、自らが犠牲となって同胞を救おうとする姿には神々しさすら感じた。正に「聖戦」である。
旅の道連れとなった仲間たちや人の側に付いた者など、猿といえども様々な立場の者がいて、それぞれの考え方があって物語が展開していく。異種知性と呼ぶにはやや人間的すぎるきらいはあるものの、観客を完全に人間ではない(それどころか敵ですらある)ものの視点に置くことに成功しているという状況自体が面白い。
対する人間がひたすらに極悪非道で話の通じない者として描かれていて、さながら生存圏を犯すエイリアンのような扱いとなっており、それが打ち倒され滅ぼされる光景には爽快感があった。
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人類はその狭量さ故に衰退の道を進むことになる。コピーの「そして、猿の惑星になる」は物語の行く末とこのシリーズの結末が旧作に繋がるという二重の意味にかかっていて秀逸である。
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