そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

『アベンジャーズ/エンドゲーム』感想

 アベンジャーズ作品に限らずヒーロー大集合ものって大味になりがちで個人的にはそんなに好きでは無かったんだけど、今作に関しては力技で個別のドラマを綺麗にまとめるという離れ業をやってのけていて驚いたやら感動したやら。

marvel.disney.co.jp

 かくてサノスの野望は成就し、あらゆる生物の半数が消滅。生き残ったヒーローたちは再びサノスに挑むも、既に6つの石は失われていた。

 倒すべき敵も希望も失ったまま数年、皮肉なことに地球には平穏が訪れた。幸運にも生き残った者たちのささやかな生活、争いのない静かな世界。

 だが、そこにアントマンが「帰還」したことから彼らは現状を覆す糸口を見出す。「今の幸福」のために踏みつけられた者がいたことを決して忘れないのがヒーローなのだ。


 インフィニティ・ウォーのラストに続いて、まさかの序盤の展開には驚かされた。思えば「いかに強大な敵がいてもそれを倒せば万事解決」というヒーロー映画のテンプレが否定されてしまったわけだからその絶望感たるや。

blue1st.hateblo.jp

 それでも引き続き国際秩序を守ろうとする者、ヤケを起こして暴走する者とヒーローによって反応は様々なんだけど、家庭的になったトニー・スタークに関してはむしろ幸福を手に入れたように見える。だからこそ、己の「今の幸福」の引き換えになった者たちのために戦いに赴くことができる精神性は尊い。

(己の幸福とその対価となったモノというテーマは『虐殺器官』を連想するところ。)

虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

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 そんなこんなで解決策はといえばまさかの時間跳躍。いやまあ冷静に考えると瞬間移動できるやつもいたわけでアベンジャーズ世界のリアリティライン的にはさほど驚くものでもないんだけど、観てた時は「え、それアリなん!?」って思ってしまった。なんで過去のタイムトラベルものがややこしい制約をつけてるかといえば、もちろん科学的な云々もあるだろうけど、やっぱり何でもアリになっちゃって物語が収集つかなくなるからなんだと思う。

 何でもアリついでに無敵に思えたサノスの軍勢も指パッチンで片付けてしまっちゃうわけで、終わってから話の筋だけ眺めると結構「何じゃそりゃ」感はある。いくらなんでも力技過ぎるのでは。キャプテン・マーベルも流石にちょっと「ついでに出しときました」感ありすぎじゃね?


 でも、そんな力技をそれぞれの石にまつわるヒーローたちのドラマで彩るわけだから上手い。石を求めて過去を巡る中で懐かしい場面の再演ありパロディあり、そして愛しい人たちとの邂逅と離別があり。これまで積み上げてきたドラマの総決算が描かれるわけだから、野暮なことなんて考えてる必要は無いって気にさせられてしまう。

 そんでもってキャップ推しの人間としては、自分の人生全てをなげうって「信じる正義」のために生きた彼に最後に救いがあったのが何より嬉しい。『まどマギ叛逆の物語』での感想とも共通するところだけど、自己犠牲は美しいけど人の物語としては空虚なのだ。アベンジャーズ作品の総決算であると共に、彼の引退劇としても非常に見事だったと思う。 (強いて言えば、バッキーお前こそ見守ってないで駆け寄ってやれよとは思ったけど。)


 そんなわけで、正直ここのところアメコミ映画には食傷気味でなんであれば惰性で観に行ったみたいな感じだったんだけど、なかなかどうして観ていて面白い、作劇の力強さを感じられる作品でした。

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キャプテン・マーベルとアントマンの二作目はまだ押さえてないんだけど、観とかないとなー。