気がついたら本日から劇場版公開らしいですな。
でも今回は年末に消化した2期の感想。
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過去に何度か言及したように、PSYCHO-PASSシリーズについては個人的には「残念」という印象が強い。
刑事ドラマとしての演出のツボはおさえてるんだけど、SFとしてのツメが甘いというかなんというか。
PSYCHO-PASSと攻殻機動隊、サイバーパンクの想像力 - そんな今日この頃でして、、、
ディストピアSFはジャンルとして大好物だし「何を社会の善とするか」「それを誰が判断するか」という問い自体は興味深いのでなまじ期待値が高かった分、細かい不満が気になりすぎるのかもしれない。
ざっくり言えば、PSYCHO−PASSは全体的に世界観への納得感が薄いのが不満だったりする。
サイマティクスキャンとシビュラシステムの関係性
1期の頃からのモヤモヤを自分なりに整理すると、つまりはこれに尽きる気がする。
犯罪係数というものをシビュラシステムが恣意的に運用できるようなできないようなでハッキリしない故に、劇中のあらゆる物事が茶番感ある。
2期最終話の描写を見ると犯罪係数を判定するのはシビュラシステムのように見える。
その恣意的な判定構造をより客観的にしていくためにシビュラシステムは脳を収集していたような描写だった気がする。
でも、だったらそもそも冤罪体質であれフランケンシュタインであれ、社会(システム)に対する行為によって個体の犯罪係数を上げればよい気がする。
(もっともそれだと最初からドラマとして成立しないが。)
そも2期ラストなんかも、シビュラは総体でこそ意味がある「基準」で、原理上分割不可能だしそこには犯罪係数なんか存在しないと思っていたので、なんかモヤっとした。
「自浄可能か?」という問いは至極真っ当だけど、それは個別の人格を抹消して解消する話ではない気がする。
逆に、シビュラシステムと犯罪係数というものがある程度分離された概念のように見えなくもない描写も各所にあった。
スキャン自体はシビュラシステムとは分離されているからこそドミネーターを奪うということができたように思うし、1期終盤では局長は犯罪係数の変更ではなくエリミネーターへのモードの強制変更という手段を用いていた。
(余談だけど、ドミネーターに強制介入できるなら2期最終話の「脅迫」も成立しない気がする。)
もちろんSFなんで作品世界の科学を全部を全部説明しろとは思わないけれど、物語において「可能なこと」と「不可能なこと」の線引きだけは、土台としてしっかりしているべきだと思う。
ここが作劇の都合でどうとでもゆらいでしまうと、どうしても物語に茶番感がでてしまうし、そもそもなんで作品世界の人々はそれを受け入れられたのよってな根本的な疑問が湧いてしまう。
(民衆については1期にあまりにも蒙昧に描きすぎちゃったと思うんだよね。あんなに不感症な人々たちなら、そもそもエリア汚染なんて起こらない気がする。)
(そりゃ実体と見分け付かないレベルのホログラムも生身と変わらないサイボーグも可能な社会ともなると・・・て面はあるけどね)
追記
ふと気づいたんだが、冷静に考えると社会運営のための”犯罪係数”と発砲の基準となる”脅威判定”て同一概念じゃないんだよな。
だからこそ機械の敵とも相対することができし、犯人が武器を手にすることで脅威判定が上がるといった演出もあった気がする。
シリーズ上だとごっちゃに扱われてる印象あるけど、「犯罪係数はセンサー的なので恣意性の余地なく得られる数値」と「脅威判定はエリミネーターから送信される情報をシビュラが判定したもの」って感じに物語の中で明示的に区別して物語を動かしていけば良かったのにって思った。
そうすりゃ「犯罪係数低いけど脅威度高い」とか逆に「犯罪係数高いけど脅威度低い」みたいな描写もできたのに。
でもそうするとやっぱり色々な場面がドラマに発展する前に解決しちゃうしなぁ・・・
とかなんとか文句を垂れ流しつつもちゃんと2期まで観てるのは、やっぱりジャンルとして好きだからなんだよなぁ。
劇場版も観ておきたいとは思うし、正にそのシステムの成立を描くらしい新連載も気にはなる。
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特にこの外伝を書いてる吉上亮氏のパンツァークラウンシリーズなんかは、似たような「意思ある都市」の描写が結構秀逸だったりするので、もしかすると僕のこのモヤモヤを晴らしてくれるのではないかと期待してたりもする。
「サイバーパンク」と出会おう!『楽園追放 rewired』感想 - そんな今日この頃でして、、、
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PSYCHO-PASS ASYLUM 1 (ハヤカワ文庫JA)
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