噂に違わずギレンホールの演技が凄まじい。
「完全にイッちゃった目」というのはこういうのを言うんだなという説得力がある。
- 発売日: 2016/02/19
- メディア: Prime Video
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あらすじ
主人公ルイスはまともな職に就けず金属泥棒で口糊をしのいでいた。
成功を夢見ながらみスタートラインにすら立てない日々。
そんなある日偶然遭遇した交通事故で、悲惨な現場を撮影してテレビ局に売り込むフリーのカメラマン=ナイトクローラーの姿を目にする。
自らもその商売で身を立てようと決意したルイスは盗品との交換によってビデオカメラと警察無線を手に入れ、持ち前の向こう見ずさによって拙いながらも初仕事を成功させる。
まとまった報酬/己の価値を認めてくれる人――初めての成功に弾みをつけたルイスは、助手を雇い車や機材を新調して「仕事」を次第にエスカレートさせていく。
それが例え非合法な手段であったとしても。
「成功」とは
あらすじを聞いて最初に想像していたのは「社会に弾き出された者が狂っていく物語」だったが、 本作の筋立てはそれには当たらない。
ルイスは物語の最初から、法を犯すことも他人を傷つけることも厭わないサイコパスなのだ。
そしてその才能が、ナイトクローラーとしての仕事ではプラスに作用する。
倫理も法律も真実もなく、ただただ金になる映像を撮る。時には演出までしてみせる。
(卵が先か鶏が先かは描かれていないところではあるが、) 人間的欠損により社会に受け入れられなかった彼が、 それが適性として作用する職を見つけて成功してしまう、 そんな物語なのだ。
本作をもって視聴率絶対主義のマスメディアだとか出歯亀根性の市民だとかを批判をしてみるのも良いし、 個人的にはルイスの狂気に昨今のブロガー界隈の加熱っぷりが重なって見えたりともしたけれど、 それより何より僕が強く連想したのはブラック企業問題だ。
まずもってルイスのギラついた目の迫真の演技には某居酒屋チェーンのPRページのガリガリの店員が頭に浮かんだし、 上辺ばかりのキラキラした言葉を並べ立てて他人を自分の意のままに従わせようとする感じには…全く良い思い出ではないのだが、 前職のWeb零細企業の社長を彷彿とさせられた。
社会人経験の浅かったころは、社会的に成功した人には何かしら優れたものがあるのだと思っていたし、 そうであって欲しいと願ってすらいた。
だが、実際のところ社会的成功が必ずしも人間的価値を保証してくれるとは限らない。
時流に乗って中身のない企業がうっかり大金を手にしてしまうこともあるし、 理不尽に他人をしばきあげるのが上手いだけの人間が上からは管理能力が高いと評価されてしまうこともある。
そして世間は財布の厚みで褒めそやし、こともあろうにあるべき規範として崇め奉ったりする。
と、ここまで勢い良く書いといて、映画の後味同様にあまりスッキリしたまとめも思いつかないところではあるけれど、 やはり倫理は顧みられるべきなんだというのが個人的に思うところ。