- 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
- 発売日: 2012/09/05
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タイトル自体は何度か耳にしていたんだけど、 ニコラス・ケイジが主演とかタイトルの語感とかポスターの感じから、 てっきりB級アクション作品なのだと勘違いしていた。
だが、本作は武器密輸の問題を描いた社会派作品なのだ。
内容もさることながら映像表現としても非常に面白く、 もっと早くに見ていれば良かった。
映像表現の魅力
ネタがネタなので陰鬱な感じの作風かとおもいきや、 CMの演出のようなインパクトある映像表現が多用されていて惹きつけられる。
作品の趣旨を端的に表すのが、冒頭の「弾丸の一生」。
町の工場でベルトコンベアに乗って鉄板からくり抜かれ作られ、 国境/大陸/人種/イデオロギーを超えて民族紛争の前線で少年の頭をぶち抜くまでが、 弾丸の視点で一連の映像として描かれる。
この映像の秀逸さだけでも本作を観る価値はあるように思う。
密輸規制の難しさ
本作の一つの軸が、武器を密輸しようとする主人公ユーリと捜査官ジャックとの対決。
ジャックは幾度と無くユーリの前に立ちはだかるが、 いつもあの手この手で罪を免れる。
その中でも印象的なのが、軍事用ヘリからミサイルを取り外し、 「救護用」ヘリと説明する箇所だ。
明らかな嘘ではあるが、それを法が取りしまうことはできない。
何をもって「武器」とするかは実のところ曖昧なのだ。
真の武器商人
常に「第三者」の立ち位置でいるからこそ残酷さを直視せずにいられる。
あくまで武器を必要とする者にそれを与えているだけ、己の手は汚さない。
本作の最後に指摘されているように、これは実のところ国際社会全体にいえることなのだ。
国際平和を標榜する安保理常任理事国の5カ国こそが、その実は最大の武器輸出国なのだ。
個人的には伊藤計劃の『虐殺器官』を彷彿とさせられるところだが、 先進国の権益のために後進国に「政治的不安定」を輸出する、 そんな構造があるのだ。
- 作者: 伊藤計劃
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/08/01
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本作はニコラス・ケイジ演じるユーリが、あくまで普通のビジネスマン然としてることが実に皮肉が効いている。
たまに本作の淡々とした感じを嫌う感想も見かけたが、むしろそこに意味があるように思える。
内容・表現ともに面白い映画だった。
思えば『ドローン・オブ・ウォー』も本作をもじったタイトルだったんだな。