そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

『ハードコア(原題:Hardcore Henry)』感想

ハードコア [Blu-ray]

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以前にYoutubuで話題となっていた一人称視点の映像作品がクラウドファンディングで映画になってやってきた!

本作はなんと全編がウェアラブルカメラGoProによって撮影された一人称視点のSFアクション映画。

単純に映像表現として目新しいということもあるが、 SF要素なんかも個人的にはツボを刺激されるものがあって面白かった。

ゴア表現いっぱいでストーリーも万人受けするようなものではないし、 映像的にはどうしても見づらい場面もある。

そもそも内容以前に酔ってしまってまともに楽しめない人もある程度いるだろう。

だけど、少なくともタイタンフォールみたいなSF系のFPSが好き層ならばグッと来るものがあるはずだ。

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FPSゲームっぽい映像表現を実写で!

まどろみから醒めると、奇妙な視界にひどく傷ついた己の肉体が映る。

科学者らしき女性は身体に新たな手足を接続しながら、 ヘンリーという名前と自分たちが夫婦であることを教えてくれた。

残すは声の機能回復のみというところで施設は謎の武装集団が襲撃され、辛くも脱出するも妻を奪われてしまう。

そこに奇妙な男ジミーが現れ、敵がエイカンという男であること、そして生き残る術を教えられる。

こうして奪われた妻と失われた記憶を取り戻す復讐の旅が始まった。


導入から何から実にFPSチックで、それが実写で描写されているということそのものがゲームが好きな身としては面白かった。

この辺の感覚は超能力バトル漫画的な物語をPOVで実写で描いてしまった『クロニクル』の時のそれと近いかもしれない。

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さながらゲームのプレイ動画を観ているように華麗なプレイング(とたまにヘマするユーモア)を眺めながら、 しかしそれが実写であるということになんとも新鮮な感覚があった。


SF設定にワクワク

物語上は特に焦点が当たるわけではないけど、「施設」が飛行船なあたりなんかは『イノセンス』の法の隙間を突くために公海上を航行する違法アンドロイド工場船を彷彿とさせられてニンマリさせられる。

イノセンス アブソリュート・エディション [Blu-ray]

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敵が超能力者というのもディック的なSFを思わせて個人的には好感触。

他にもジミーの完全に倫理を逸脱したマッドな(でもちょっと共感できる)感じなんか非常にツボを刺激させられるポイントだったりする。

物語自体はシンプルな復讐譚だけど、 その脇に「自身の存在」の不確かさとかそういったSFテーマが散りばめられていて、 思い返すたびにそういう芸の細かさに気付かされる。


シャールト・コプリー七変化

何と言っても本作の最大の目玉は謎の男ジミーを演じるシャールト・コプリーの七変化でしょう!

SFファンとしてはニール・ブロムカンプ作品でもはや見慣れた顔といった感じだけど、 そんな彼がキメッキメの軍曹をやったかと思えばラリったジャンキー演じたりナードな教授を演じたりしている様を観るだけでなんだか面白く見えてしまうのだからズルい。

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そんな感じで表現の新しさだけに留まらず、 楽曲の使い方やユーモアの挟みかたなんかも巧みで惹きつけられるものがある作品だった。

あえて文句の付け所を探すと、 場面切り替えをもう少し自然な感じでやれればなーと、 最後の妻の下りはもっと溜めがあっても良かったかなと思うところ。

FPSという表現方法自体は慣れないと酔いやすかったり主人公の動きが表現しづらかったりという難点はあるんでメインストリームになるということは無いと思うけど、 それでも新時代のデバイスによる新しい表現としては興味深く、これが一ジャンルに育っていったらなと思う。


SFといえば次週公開の攻殻機動隊の実写も気になるところ。

映画に合わせてということなのだろうか、最近発売された小説アンソロジーもポチってしまった。

攻殻機動隊小説アンソロジー

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