そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

『メタルギア ソリッド スネークイーター』を読んだよー

メタルギアソリッド3はメタルギア・サーガ内の時系列における一番最初にあたる「ビッグ・ボス」以前の物語であり、その後のストーリーの鍵を握る人物たちのバックグラウンドが明らかになる重要なタイトルであった。

スネークとザ・ボスとの関係性が主軸となり、なぜビッグ・ボスが反乱を起こすに至ったのか、その原点がさながら映画のような重厚なシナリオで描かれていた。

しかし一方で、中ボスにあたるコブラ部隊やヴォルギン大佐については描写が浅く、どうにもビックリ人間ショーと脳筋司令官という印象の域を出なかった。


シリーズのノベライズとしては前作にあたる、伊藤計劃著の『メタルギアソリッド4』では、中ボスであるBB部隊を完全に省くという思い切った構成により、本筋である旧作からのキャラクターの因縁を丁寧に描いていた。

それとは対称的に本作では、元のゲームシナリオでは描写の薄かったコブラ部隊やヴォルギン大佐を補完し、その動機や行動に人間味を与えることに成功している。


コブラ部隊は各人にその特殊能力の理由となる出自と、なぜ命をかけてまでザ・ボスに従うかの動機となる大戦中の活動が描かれる。

なぜコブラ部隊が「最強の特殊部隊」であるか、そしてヴォルギンがなぜそこまでコブラ部隊を重視していたかに説得力が与えられている。


また、ヴォルギン大佐もゲームでは、粗暴で脇の甘い野心家というイメージでしかなかった。

個人が抱くにはあまりに無謀な野心だし、疑心暗鬼な性格の割には安易に諜報を許し過ぎなように見えた。

しかし、本作では彼についてもかなり描写が追加されており、彼なりに祖国を憂う立場なりの難しさと葛藤がある人間として描かれている。


最近レガシーコレクションをプレイした身としては、単体のストーリーとしては3が一番魅力的なように思う。

シリーズではAIや二足歩行戦車サイバネティックスなどのSFテクノロジーが魅力の一つではあるが、それに頼りすぎて展開に少々無茶があるように感じてしまうこともある。

その点で3は過去を描いているということもあってSF要素は控え目になり、人間ドラマが中心となっていることが他にはない味となっているように思う。

本作はそんな魅力を補強し、より楽しむことができる作品となっている。