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そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

『楽園追放』で残念だったところ、見てみたい次の「ディストピア」について

映画 まどマギ 翠星のガルガンティア 楽園追放 アニメ

すべての場面が色々な意味でフェティッシュで、一本の映像作品としては凄く良くまとまってるなぁと思う。

尻丸出し俵担ぎの場面で吹き出してしまうのとラストの唄で気が抜けてしまうの以外は大体ノリノリで楽しめるしケチをつけるのも無粋だとは思ったけど、割とツイートの反響があったので書いてみた。


タイトルは『楽園追放』としてるけど、『PSYCHO-PASS(一期)』も同様の印象を持っていたりする。

blue1st.hateblo.jp

『楽園追放』と『PSYCHO-PASS』、"全体主義"の歪み

端的に僕があまり気に入らなかったというか残念だなと思ったのは、両作品とも明確に「社会をコントロールする者=打ち倒すべき敵」が存在しているということ。

(一応どちらも動機は悪意ではなく「社会の存続」であるわけで、単純な「悪」で「敵」というわけでもないが。)

主人公たちがそれらと対峙する動機が「建前に反して平等ではなく特定の何者かが大きな権力を持っている」ことへの反発であり、物語が「全体主義の不完全性」により駆動されているという点である。

情報社会のディストピア

ディストピアというものが反共産主義の文脈により育ったジャンルである故に致し方ないところはあるが、IT技術という新たな想像力がもたらされた現代においてもひたすら数十年前の創作物と同じことをガジェットだけ変えて繰り返すのもつまらないと思うのだ。

会員サイトの時代の想像力というのはディストピアというジャンルと実に食合せが良くて、「徹底された功利主義は全体主義に近づく」「社会=システムの設計者や管理者の意志が、さながら見えざる神の手のようにはたらく」というところをガジェット面で補強する効果はある。


だが、SNSの時代には新たな想像力があっても良い。

全ての人々の意識が接続され「特定の何者か」の悪意も欲も入り込まない完全な功利主義社会におけるディストピア像というものを僕は見てみたい。

強権をもった統治者ではない、普通の市民が敵となる物語。

(でも猫も杓子も「集団的無意識ガー」でまとめる作品はもういらない)

功利主義との相剋

明確な「何者か」が社会をコントロールし、そのアルゴリズムを歪めているという文脈であれば、それを打ち倒そうとする主人公たちにも大義が与えられる。

(見解の相違はあれど)彼らは民衆の守護者であり、功利主義的に一応の正義が認められる。

だが、そうではない、「全ての人の意志」に対し叛逆する物語であれば、そこに”正義”を見出すには別のロジックが必要となる。

(こう書くとどこぞの全裸大佐を連想するけど、あの人って台詞でいうほどには「総意の器」な感じしなかったよね)

『PSYCHO-PASS』や『楽園追放』に限らず、『Fate/Zero』『まどか☆マギカ』『翠星のガルガンティア』と、(偶然かもしれないが)僕が観た虚淵氏の作品は全て「功利主義との相剋」が一つのテーマになっているように思うし、そういう方向に突き詰めた作品というのを是非とも作って欲しいと思う。


このあたり、(動機付けはともかく)対峙の仕方が面白いなと思ったのは『ガッチャマン・クラウズ』だったりする。

blue1st.hateblo.jp

戦うのではなくノせる、倒すのではなく共存する。



そんな感じで結局まとまらないのかよって感じではあるが、まとまらないついでにあと何点か。

サイバーSFアニメでハイレグスーツは様式美だけどさ

アンジェラのキャラデザ、個人的にはめちゃシコで大好きだけど、こんなに一般ウケできそうな作風であのキャラデザは、本来受け入れられたはずの客を遠ざけてはしまわないかと要らぬ心配をしてしまう。

それが客寄せになってる部分もあるだろうし、3Dモデリングでちゃんと「萌えられる」あたりがこの作品の見どころの一つなのも事実なんで、判断の難しいとこだとは思うけどね。

(俵担ぎで尻丸出しのシーンなんかは本来凄く良いシーンなはずなのに、なんだかギャグに見えてしまって個人的にはダメだった。)

処罰の描写

小説版なんかだと思考「能力」が奪われていく感じに「おっ!」と思った。

エンジニア業という思考能力を飯のタネとしてる身故に余計に「情報を取り入れられず、処理能力が失われていくことの恐怖」を感じられた面白い箇所だったのだが、これが映像だと単に変な空間に隔離されているようにしか描写されなかったのが勿体無い。

情報体としての社会

情報体である以上、複製なんかもできそう(世界観的に塞がれて無さそう)な感じだったのが気になる。

それこそラストに攻殻機動隊みたいに”複製”で解決するって選択肢もあった気がするし、そもそもディーヴァでの生殖形態だってもっと違った形になりそうなもの。

そうすると「家族」も「社会」ももっと違った新しい形になりえたはずだ。

「人とは」の問いに対して精神性だけで答えた形の結末だったが、「身体性抜きに人は人でい続けられるのか?」というテーマはもっと掘り下げられたのではないだろうか。



そんなこんなで好き放題後出しジャンケン的にケチつけたけど、でも作品としては尺に収めるとか映像的な見栄えとか一般ウケの範囲なんかも考慮して作りだったのだと思うし、それが上手く行ってるとも思う。

(現に僕も円盤ポチったし)

このジャンルが盛り上がっていけば良いなー。

楽園追放 Expelled from Paradise【完全生産限定版】 [Blu-ray]

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