そんな今日この頃でして、、、

コード書いたり映画みたり。努力は苦手だから「楽しいこと」を探していきたい。

今年買ったBD・DVD

幸いにして客商売じゃない部署になったということもあり、 仕事もプライベートも悠々と振り返りモードな今日この頃。

思い返すとここ何年かはずっと長期休み中もシステム障害への不安で心が休まらない感じがあったなぁ。

例年との違いという点で見ると、 個人的には今年はよく円盤を買った一年だった。

思い立って円盤買った

これまでは少しでも多くのものを得ようという考えもあって、 お気に入りの作品を買うよりはまだ見ぬ作品を借るという方向への気持ちが強かったのだが、 今年に入ってからは心境の変化があって事あるごとに円盤を買い漁っていた。

資本主義社会において買うという行為はすなわち投票なのだ。 自分の好きなものを存続させ、より良いものを作ってもらうための投資なのだ。

そんなわけで、今年買った円盤を振り返ってみた。


SHIROBAKO

試みに購入履歴を遡ってみたところ、 はじめにあったのは去年から買い進めていた『SHIROBAKO』。

アニメ制作の現場を描いた群像劇なのだが、 ソシャゲの業界にもどこか近い空気感みたいなものはある気がしていて、 共感するやら心が苦しくなるやら、 それでも見終わるとポジティブな気持ちをもらえる。

当時は行く先に迷う主人公たちに共感していたのだが、 若手ぶれない年齢に差し掛かってきたこともあって焦燥感ある中堅陣の感じも分かるようになってきたし、 きっとこの先もっと別の見え方がでてくるに違いない。

とかく、仕事に行き詰った時に見直したくなる作品なのである。

LOOPER

LOOPER/ルーパー [Blu-ray]

LOOPER/ルーパー [Blu-ray]

世間的にはそこまでヒットした作品ではないのだけれど、 ビジュアルといい話の収まり方といい、 すごく僕のSF琴線にふれるものがあるんですよ。

色々と深いものを含みながらも驚くほどにあっさりしたラストの演出の余韻が特に好き。

ガールズアンドパンツァー

ガールズ&パンツァー 劇場版 (特装限定版) [Blu-ray]

ガールズ&パンツァー 劇場版 (特装限定版) [Blu-ray]

最終章の制作も発表されて、いまだに勢いの収まらぬガルパン。

色物っぽい題材だけれど、 技術もモチベーションもバラバラなチームと自信のないリーダーが信頼関係を築いて 共に成長していく物語には普遍的な面白さがあると思う。

劇場版に加えてTVシリーズにOVAと買い揃えてしまったし、最終章も間違いなく買うだろう。

インターステラー

インターステラー [Blu-ray]

インターステラー [Blu-ray]

これを言ってもなかなか理解されないんだけど、 野良ドローンを家族で追いかけるシークエンスがめちゃくちゃ好き。

純粋にシチュエーションとしてのフェティシズムというのもあるけど、 あのシークエンスひとつで世界の荒廃っぷりや父の科学へのスタンス、 家族の距離感みたいのが全て表現されているのが凄いと思う。

イミテーション・ゲーム

「コンピュータ開発秘話」みたいなのがメインの伝記作品かと思いきや、 人の命を数字として扱うことの重責がピックアップされていて心に刺さった。

戦争の残虐さを泣き叫ぶ子供や飛び散る臓物ではなく、「意味の剥奪」という暴力性によって描き出す感じは目新しかった。

スーツフェチ的に作中の服飾も魅力的だった。

エクス・マキナ

エクス・マキナ ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]

エクス・マキナ ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]

人工知能を描いたSFは数多くあるけれど、まさに「今」のリアルさをここまで上手く取り込んだ作品というのはなかなか無いんじゃなかろうか。

ディープラーニングがめざましい成果を上げている昨今だけど、 その「作者にもなぜそれが正解につながるのか分からない」感じには面白さとともにどこか不気味さも感じる。

そんな雰囲気がに上手く作品に盛り込まれている。

ウルフ・オブ・ウォールストリート

ウルフ・オブ・ウォールストリート ブルーレイ+DVDセット(初回限定DVD特典ディスク付き)(3枚組) [Blu-ray]

ウルフ・オブ・ウォールストリート ブルーレイ+DVDセット(初回限定DVD特典ディスク付き)(3枚組) [Blu-ray]

物語の勢いとディカプリオの怪演は何度見ても飽きない。

見直していて気づいたことなのだけど、 主人公の会社の人々の欲を取り込んで暴走する感じ、 中の人達はそこにいやに愛着を持ってて一方でそれによる他人の不幸には何ら気を払わない感じは、 先進国社会のメタファーなんじゃないかなーなんて思えた。

マッドマックス 怒りのデスロード

マッドマックス 怒りのデス・ロード [Blu-ray]

マッドマックス 怒りのデス・ロード [Blu-ray]

言わずと知れた怪作。

色んな人が色んな切り口で本作のヒット要因を語ってはいるけど、 僕なりには本作のシンプルなストーリーラインに緻密な世界観を作り込んできた、 そういうまとまりの良さに美観に魅力を感じるところ。



昨今では動画の定額配信サービスみたいなのも結構充実してきていて、 「たまに観たいな」ぐらいの欲求を満たすだけだったら円盤を買うまでも無かったりもするんだけど、 やっぱり手元で物理的なパッケージがあると満足感がある。

見直してみるとその年齢だったりそのタイミングだったりで受け取り方が変わったりするのも面白いし、 もっと実利的なところでいうとPowerDVDなら英語字幕と日本語字幕を同時に表示できて英語学習にも使える感じが良い。

PowerDVD 16 Pro |ダウンロード版

PowerDVD 16 Pro |ダウンロード版


円盤といえば『シン・ゴジラ』もついに出ましたな。当然予約済み。

今年の映画でいえば『君の名は』も出たら是非とも買いたいところ。

Chatworkにコマンドラインから投稿するchwkコマンド作った

IT界隈じゃもはやSlackがデファクトスタンダードになりつつあるけど、 残念ながらうちの会社が使っているのはChatwork。

多機能なのは良いんだけどMarkdownには対応してないし、 APIはいつまで経ってもプレビュー版のままだし、 そのAPIもイマイチ機能が足りない感じ。

developer.chatwork.com

なんというか全体的にエンジニアフレンドリーじゃない感じがするんだけれど、 これって日本の企業では決済権を握ってるのが事務方が多いことに最適化した結果なんだろうなーなんて 競合Slackとの差異に思いを馳せたりする。


そんな愚痴はさておき、今回はGo言語の勉強がてら作ってみたchwkコマンドについての紹介。

github.com

続きを読む

今年買って良かったもの

気づけば今年も残る所あと20日。 大きなプロジェクトを完了したり転職したりと、 それなりに忙しい一年だった。

そういうストレスが無意識下に働いたのか、 振り返ってみると例年にも増して色々と大きな買い物をしていた。

一部じゃ「ミニマリスト」みたいなライフスタイルが流行ってるみたいだけど、 買い物自体が娯楽な感じすらある僕には到底無理な話なので、 開き直ってこの物質的資本主義的快楽を享受しようと思う所存。

ちょうどそんな感じのお題も出ているようだし、 思い出しついでに挙げてみようと思う。

お題その2「今年、買ってよかった物」


PlayStation VR

blue1st.hateblo.jp

今年といえば何と言ってもこれ!

まだガッツリしたゲームタイトルが出てないとか酔うから長時間は無理とか色々言われるところではあるけど、 可処分時間が乏しい社会人の身には「何時間でも遊べる大作」よりも、 こういう「短時間でガーッと強烈な体験をさせてくれる」ものの方がライフスタイルには合っているなと思う。

PlayStation Move モーションコントローラー

PlayStation Move モーションコントローラー

VRが予約できたタイミングでモーションコントローラもポチっといて正解だった。 もう一本欲しいとこなんだけど、まだまだ高騰しててなかなか買えない。


掃除ロボRoboVac10

blue1st.hateblo.jp

QoL的にかなり価値があったなーと思うのはこれ。

ものぐさでほんとに思い立ったタイミングでしか掃除出来ない人間なんで、 大雑把とはいえ定期的に床を掃除してくれるのは本当に助かる。

油断してるとコード類を巻き込んでしまうのがちょっと難。


自動調理器ホットクック

blue1st.hateblo.jp

QoL話つながりだとホットクックによって野菜を食べる機会が増えたのも良かった。

材料をセットしてボタンを押したら後はほっといて他のことに気を回せるのは非常に楽で良い。


マットレス+枕

学生時代からの布団がヘタってきたのかせいか、 はたまた単に加齢による衰えか、 どうにも朝起きても体が痛いということが多くなってきたので、 転職を期にマットレスに買い換えてみた。

樹脂的なものを使ったタイプにするかちゃんとバネが入ったタイプにするか迷ったのだが、 前者は時間が経つと形がついてしまうらしいので思い切ってバネがちゃんと入ってるものに。

これがなかなかに快適で、期待通り朝の体の痛さがかなり改善された。

ついでに買い替えた枕も固さがちょうど良く、 おそらく呼吸が阻害されることによって起こっていたと思われる朝起きた時の頭痛もかなり減った。


電気シェーバー

転職タイミングの話でいうと、ちゃんとした大人を装うようにしようと買ってみた電気シェーバーもなかなか良い意味でライフチェンジャーだった。

僕は髭が薄い方なのでこれまで特に必要性を感じていなかったのだが、 そうはいっても年相応に放っておけば不格好な風体にはなってしまう。

とはいえ慌ただしい朝の髭剃りは面倒だし、雑にやるとむしろ剃り残しが気になるし・・・

ということで試しに安めで評判が良さそうなものを買ってみたのだが、 これが(当たり前だけど)楽に綺麗に早く剃れて本当に快適。

もっと早くに買っておけば良かった。


2台目のNasne

nasne 1TBモデル (CUHJ-15004)

nasne 1TBモデル (CUHJ-15004)

「もっと早くに」といえばNasneを買い足したことによるストレス軽減も大きい。

残り容量にハラハラする必要が無くなったし、時間かぶりで泣く泣く視聴を切るようなことが無くなった。

今にして思えば十分に値段以上の価値があった。


ワイヤレスヘッドホンJBL EVEREST ELITE 700

blue1st.hateblo.jp

動画視聴関連でいえばワイヤレスヘッドホンも想像以上に良かった。

Bluetoothヘッドホンにはあまり良い印象が無かったのだが、 技術の向上によるものなのか、かなり使い勝手が良くなった印象。

バッテリはかなり持つし、接続距離も十分長いので、 PCで動画や音楽を再生しながらフラフラ歩いて家事ができるようになった。

もの食べてる時に引っかからないとか手を洗いに行くのにアタフタしないで済むとか、 ちょっとしたことだけども色々なストレスが無くなった。


他にも今年はKindlePW3G買ったり、 NAS購入+ルータ新調で家庭内ネットワークを改善したり、 あるいはVufileやMiracastで遊んだりと、 ガジェット的にかなりものを買った一年だった。

blue1st.hateblo.jp

blue1st.hateblo.jp

blue1st.hateblo.jp

blue1st.hateblo.jp

blue1st.hateblo.jp

一方でガジェット的に悲しいのはPebbleがFitbitに買収されたニュース。 かくいう僕もTime2 + CoreをKickstarterで支援してたのがキャンセルになってしまったのが本当に残念でならない。

Apple WatchにもAndroid Wearにもあまり良い評判を聞かない中で、ほとんど唯一実用に耐えそうなスマートウォッチだったのになぁ。

このままスマートウォッチには何も手を出せないままジャンルが衰退していっちゃうんじゃないかという気がする。

特別お題「2016年を買い物で振り返ろう」 sponsored by 三菱東京UFJ-VISAデビット

『RWBY vol.1・2』 感想

劇場の予告だったりTWの評判だったりを目にしていて、 前々からちょっと気になっていた米国発の3DCGバトルアニメ『RWBY』。

rwby.jp

ちょうど良いタイミングでニコ生の放送があったので観てみた。


まずもってバタ臭さが無いキャラデザに驚く。 それぞれの変形武器・固有能力センブランス・エネルギーの結晶ダストなどの道具立ても 実に「分かってるなー」という感じ。

背景の簡素さや動きのぎこちなさには物足りなさを感じもするが、 声優陣の好演も手伝ってかキャラクターの表情は豊かに感じられるし、 何よりメインとなるアクションには非常に力が入っていて、 目の肥えた日本人でも十分にハマれる品質になっている。

でも、せっかくの武器のギミックは割とあっさりした描写だったりするんで、 もう少し力を入れてくれた方が燃えるのになーという気がする。

時折コミカルなシーンで挿入される漫画的な表現も小気味よい。 でもノリとか台詞回しとかには、そこはかとなくアメリカンな感じがするのが不思議。


それぞれが抱えた弱さを認めて克服していく成長譚を縦軸に、 出自や種族による諍いや差別構造の克服を横軸にして物語は展開されていく。

このへんの物語構造はベタといえばベタかもしれないが心地よくもあった。

今の日本で「普通に良い子が困難を乗り越えて成長する王道の物語」を大真面目に真正面から描くのはむしろ難しいんじゃないかと思う。

『うしおととら』なんかを見てて思ったことなのだが、どこかサムい感じがしちゃうのだ。

そのあたり、海外発ということもあって何の衒いもなくストレートに描いていくあたりにはちょっとした新鮮味があった。

物語といえば、vol.1ではストーリーの中での情報の出し方がちょっと上手くないな思えた部分もあったのだが、 vol.2はこなれてきた感じがして今後の展開にも期待が持てる。

RWBY Volume3初回仕様版Blu-ray

RWBY Volume3初回仕様版Blu-ray

最近観たもの読んだもの

気がついたらもう12月ということで。

映画『この世界の片隅に』

この世界の片隅に コミック 全3巻完結セット (アクションコミックス)

この世界の片隅に コミック 全3巻完結セット (アクションコミックス)

世間じゃ大絶賛の嵐なんでなかなか言い難いところではあるんだけど・・・ 個人的にはそこまでピンと来なかった。

確かに普通の一個人からみた戦争の風景を視点を逸脱せずに丁寧に描ききった作風は好感を覚えるし、 作品としても良くできたものだとは思う。

・・・思うのだけど、事前の評判に圧されて観に行った身からすると、 ちょっとヨイショが過ぎるかなーと感じてしまったのが正直なところ。


主演に起用された女優の天然っぽさがキャラクターにマッチしてるというのは異論はないけど、 演技的に替えが効かぬほどに凄く良かったとまで持ち上げられているのはちょっと疑問符。

(僕は不思議ちゃんみたいなキャラ付けが根本的に好きじゃないので、 主人公のキャラクターにも声優を勤めた方にもとくに萌えられず、 そのへんが原因となって世間と感じ方に乖離があるのかもしれないけど)

特に幼少の時期あたりなんかでは僕にはどうにも異物感があった。

他にも色々と「~な表現は新しい!」みたいに推されてるポイントはあったけど、どれも針小棒大な評価なように思える。

クラウドファウンディングだの芸能界の闇だのといった作品外の物語にもそんなに興味が沸かないところでもあり、 僕には世間で言われるほどの魅力は感じられなかった。


さて、本作については反戦か否か的な議論が一部で湧いてたのが記憶に新しい。

敗戦国が戦中を描けば自ずと苦しい風景になるわけで、 戦争に否定的であることを反戦と呼ぶならば、 そりゃまあ好むと好まざると反戦という枠になるだろう。

ただこれが 「どれだけ凄惨な状況を描いて視聴者に不快感を催させるかチキンレース」だったり、 あるいは「キャラクターが明らかに状況を逸脱した視点から物を言う」みたいな、 よくある教条主義的な「反戦もの」でないのは良かったと思う。

「暗黒の時代だった」なんていうのは後の時代の人間が勝手にラベリングしているだけで、 人々はいつだってそれなりに笑いそれなりに泣きながら淡々と生きているのだ。


本作の最後の空襲の母子の光景って何か既視感があったんだけど、 それが何だったのかちょっと思い出せなくてもやもやする。

多分絵的に見たわけじゃなくて話として聞いたか文字として見たかだと思うんだけど・・・


映画『ニューヨーク1997』

ニューヨーク1997 [DVD]

ニューヨーク1997 [DVD]

録画にて。

眼帯・アウトロー・潜入ミッション・ナノマシンと、なるほど確かにこれはMGSの元ネタっぽさがある。

Wikipediaなんかを読むとCG全盛じゃない頃の工夫なんかが色々あって面白い。


『scenario experiments lain/シナリオエクスペリメンツ レイン』

scenario experiments lain/シナリオエクスペリメンツ レイン[新装版]

scenario experiments lain/シナリオエクスペリメンツ レイン[新装版]

『serial experiments lain』は僕はリアルタイムで見た頃は、 散りばめられたギークな用語やSFホラーな雰囲気や独特の画面美術で、 良くわからないなりに妙に惹かれるものがあった記憶がある。

そのあたりシナリオの補足なんかを読むと、 どういった背景でそれらが形作られていったのかが読み取れて面白かった。

serial experiments lain Blu-ray BOX

serial experiments lain Blu-ray BOX

ボックスもそんなに高くないし、いつか買おうかな。


小説『最後にして最初のアイドル』

最後にして最初のアイドル

最後にして最初のアイドル

いやー、怪作というより他にない。ハヤカワがこれを出版せねばと思ったのも頷ける。

どう切り取ってもネタバレになりそうなんで語りづらいところはあるんだけど、 とにかくこの悪ノリに悪ノリを重ねてどんどんスケールが大きく加速していく感じの心地よさは実にSFだなーと思えた。

最後にして最初の人類

最後にして最初の人類

タイトルの元ネタは↑だと思うんだけど、そのうち読んでみたいな。


その他、アマゾンプライムのアニメが豊作

ここのところのプライムビデオに追加されるラインナップが、 ロボアニメファンとしてはいつか観たいと思ってたものばかりで凄く俺得。

第1話 終戦

第1話 終戦

今だとボトムズを観てるんだけど、ハードボイルドな世界観がたまりませんな。

主人公のキリコの感情に乏しいけれど決して冷徹なわけではない感じは、そこはかとなくオルフェンズの三ヶ月にも通じるものを感じる。

第1話 鉄と血と

第1話 鉄と血と

(そういやオルフェンズもラインナップにあるのね)

次はイデオン、エスカフローネあたりから押さえていきたい。

第1話 復活のイデオン

第1話 復活のイデオン

とりあえず正月の暇つぶしには困らなそうだ。

『AIと人類は共存できるか?』感想

ここ2・3年、コンピュータの計算能力の向上もあってディープラーニングなどの機械学習が目覚ましい成果を上げるようになってきた。

Alpha Goが世界でもトップクラスの棋士を破ったニュースが衝撃を持て報じられたことは記憶にも新しい。

(『盤上の夜』の感想でもそんなことを触れてたっけな)

blue1st.hateblo.jp

ひどく大雑把な解釈になるが、経験則・感覚・直感といった定式化できないものをコンピュータに実装可能になったと表現できるかもしれない。

だが、「定式化できない」ということは即ち「プログラムを作成した人間にも解釈できない」ということを示す。

SF者としては、そこに不気味さとロマンとを感じずにはいられない。

(このへんが上手いなーと思ったのは『エクスマキナ』。円盤も買ったし、また改めて感想書きたいかも。)

blue1st.hateblo.jp


もはや空前の人工知能ブームといっても差し支えない時分であり、 創作の世界でもそれに触発されたような作品は多く作られている。

・・・いるのだが、それらが必ずしも現代的な人工知能観を反映できているかというと、 残念な出来のものも少なくはない。

今成果を出しているものは特定の課題に対して対処するいわゆる「弱い人工知能」であり、 昔のSFに描かれるようなあらゆる課題に対して人間のように思考できるような「強い人工知能」ではない。

「弱い人工知能」の延長上に「強い人工知能」が成し得るか否かは色々な見解があるところだが、 いずれにしろ「近未来」レベルでは難しいだろうと思う。

このあたりを踏み違えてあまりに現実を逸脱したようなものを現代的な舞台にもってこられると、 特にITエンジニアとしてはどうにも乗り切れない気持ちになってしまうのだ。

blue1st.hateblo.jp

(もっともこれは創作の世界に限った話ではなくて、 ビジネスの世界でも半ば意図的に混同してマーケティングワードとして使用してたりするから質が悪い)

何の補助線もなしに「強い人工知能」を登場させてしまうと嘘くさくなるが、 あくまで道具としての「弱い人工知能」を普通に描くだけでは一向に人類は危機に瀕してはくれない。

そういう意味で、現代のSF作家にとって人工知能という題材は鬼門なのかもしれない。

(突然ルンバが人類に反旗を翻したり、Siriが核の発射コードを乗っとたりするような話にはリアリティを感じられない。 一方でスマホという身体により人類に寄生し、あらゆる情報を捕食しようとするGoogleシステムの話ならば面白いかもしれない。)


さて、前置きが長くなってしまったが、 そんな人工知能を題材とした短編小説+研究者の論考を集めた『AIと人類は共存できるか?』というアンソロジー本が出版された。

AIと人類は共存できるか?

AIと人類は共存できるか?

収録作品は

  • システム開発に携わる主人公のとある疑念からはじまる、倫理をテーマとした「眠れぬ夜のスクリーニング」
  • 分裂したアメリカを舞台に人工知能の可能性をめぐる、社会をテーマとした「第二内戦」
  • 政策決定に人工知能を用いることによるゴタゴタを描いた、政治をテーマとした「仕事がいつまで経っても終わらない件」
  • 人工知能が人類を超越した存在となった時何を思うか、信仰をテーマとした「塋域の偽聖者」
  • 人で無いものが芸術を解するか、芸術をテーマとした「再突入」

この中でも特に個人的に面白かった「第二内戦」と「仕事がいつまで経っても終わらない件」について感想を述べたいと思う。

続きを読む