そんな今日この頃でして、、、

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『GODZILLA 怪獣黙示録』感想

 先日公開されたアニゴジこと『GODZILLA 怪獣惑星』の前日譚にあたる、世界各地に出没するようになった怪獣と遭遇した者たちへのインタビューという形式をとった小説。人類がいかにして怪獣と戦い敗北していったか、なぜエクシフ・ビルサルドという2つの異星文明と運命を共にすることになったのかという経緯が描かれる。

GODZILLA 怪獣黙示録 (角川文庫)

GODZILLA 怪獣黙示録 (角川文庫)

 作者名に見覚えがあると思ったら『楽園残響』の人で、あの作品のSFの感性には惹かれるところがあったので本作にもそれなりに期待感をもっていたのだが、その予想を十分に上回って面白かった。

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 1999年のカマキラスの出現を皮切りに、様々な怪獣が地球各地に出没して人類の生存を脅かすようになる。怪獣という非科学的存在に対して現実的な国家や人々が多大な犠牲を払いながら奮闘する様は先の『シン・ゴジラ』を彷彿とさせられるものがある。

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 『シン・ゴジラ』を何度も見返すうち、逃げ遅れた住民によって銃撃できない感じがこの国の弱さであると共に結末のギリギリの勝利をつかみ取る強さでもあるよなーなんてことを思ったりするのだけど、本作では正にそのあたりがくみ取られていて、各国それぞれの我が国とは全く異なった脅威への対応が描かれるのが面白い。


 そして中盤以降、本邦ではいつの頃からかファミリー娯楽路線となった怪獣映画にはお馴染みの架空兵器も異星文明との接触という筋立てによって実現される。メーサー砲に轟天号といった超科学の産物が現実的世界観の中で運用される様にはなんとも説明しがたいワクワク感がある。

 怪獣も総出演といった感じで、世代的に馴染みあるところではビオランテや、まさかのエメリッヒ版ゴジラまで登場してくる。(あの消化の仕方には恐れ入った)

 クロスオーバーなお祭り作品ながら物語的な骨太さをもった、いわば怪獣版の『ウォッチメン』とでもいうべき出来だった。

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 TLに流れる映画の感想を眺めているとアニゴジの世界観に馴染めないという向きも見て取れる。確かに劇中での人類が宇宙へ逃亡することになった経緯の描写は駆け足気味であり、そうすると現代の我々とは隔絶した遠い未来の世界を描いたものと受け取られ、「怪獣映画」であることに違和感を覚えてしまうのだろう。

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 だが、この作品を読めば、一見するとSF然としたアニゴジが従来の怪獣映画のそれと地続きであると認識できる。ことの始まりを過去の時間軸である1999年に設定したのにも、恐らく何かしらの意図があるのだろう。

 個人的には、作品を十分に咀嚼するためにも本作を読んでアニゴジに挑むことをおすすめしたい。

GODZILLA 怪獣黙示録 (角川文庫)

GODZILLA 怪獣黙示録 (角川文庫)