そんな今日この頃でして、、、

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アニゴジ3こと『GODZILLA 星を喰う者』感想

 どうせNetflixに入るしなーとか色々迷ったんだけど、毒を食らわば皿までということで観にいてきましたアニゴジ最終章『GODZILLA 星を喰う者』。

godzilla-anime.com

 総力戦の末にゴジラを休止状態にまで追い込んだものの、同時に多くの装備や人命と唯一の対抗手段であるメカゴジラシティを失った人類。残された者たちはメトフィエスの言葉に心の拠り所を求めた。だが、その裏でエクシフの陰謀が進行していた・・・


 前回はビサルドの合理性のためには個としての感情も切り捨てるあり方が焦点となっていたが、今回のエクシフは逆に個々人の感情を刺激して操ることで「大いなる全」へと合一させようとする。それは形は違えど、やはり個を消失させる人間性に欠いたものだった。

 このあたり『翠星のガルガンティア』のヒディアーズや人類銀河同盟なんかとも重なるものがあって虚淵さんお気に入りのネタなんだなーと思うんだけど、『PSYCHO-PASS』に『楽園追放』とディストピアものが続くと「あくまで既存の人間の形質にこだわる」というスタンスがちょっとワンパターンに感じられてしまうのも否めない。

blue1st.hateblo.jp

 で、ガルガンティアのレドなんかは言ってみれば巻き込まれた側だから心変わりを「ああ成長したんだね」と微笑ましく見られるものの、本作のハルオの場合はどうしても「さんざん扇動して大勢巻き込んだのに今更お前が日和っちゃうの!?」というイライラ感がついて回るのが辛いところ。


 果たしてエクシフの無理心中の策謀は結実し、人々の憎しみの感情を糧としてギドラは召喚される。この作品ではゴジラがやたらと強く設定されている手前それを倒しうる怪獣をどう設定してくるのかと思ったが、なるほど物理攻撃の通じない高次元の存在と来たのは面白かった。光そのもののような「生物」ではなく「現象」のようなヴィジュアルはなかなか神々しくて良い。

 ただ、メトさん本人に「高度に発達した科学は云々」を台詞で言わせるのはどうにもダサい。人類にはオカルトに見えてもエクシフ的には体系だった技術なはずなわけで、台詞にするにしてもあくまで人類側の誰か、例えば解説役の科学者が言うんだったら良かったんだけど。絵的にはあの謎ガジェットが人の祈りに反応して謎の光を発するみたいな描写だけで十分だと思うんだよね。


 最後の最後に引っかかったのがラスト。「共生」なんていうと聞こえは良いけど人間そんなに都合よく切り替えられないよね、的な部分は面白くはあるんだけど・・・なんか良い話っぽく締めちゃってるけど冷静に考えるとそんな重大なことハルオが一人で勝手に判断して良いことだっけ?と思ってしまった。ハルオ君はひたすらに人型種族への疫病神ムーブをかます。


 そんなわけで、本三部作は正直なところ満足度は低かったと言わざるをえない。僕は特撮には全く思い入れが無いので怪獣プロレスが無かったことに関してはそこまで拒否感はないし、それを絶対視して作品の出来不出来と混同しちゃう言い様には反対だけど、それはそれとして作劇としてもっと上手くやってくれよという気持ちである。

GODZILLA 怪獣惑星 (角川文庫)

GODZILLA 怪獣惑星 (角川文庫)